ファミコンソフト売上第5位!「父親もハマった」任天堂の大ヒット作『ゴルフ』が40周年

画像はファミコン用ソフト『ゴルフ』(編集部撮影)

ファミコンブームの当時は、数十万本から100万本も売れる大ヒットゲームがあふれていました。そんなファミコンゲームの売上本数は『スーパーマリオブラザーズ』を1位に、以下『スーパーマリオブラザーズ3』『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』『ドラゴンクエストIV 導かれし者たち』と続き、第5位となったのは、意外にも有名シリーズとは無縁のスポーツゲーム『ゴルフ』(任天堂)でした。

■お父さん需要で大ヒット? 『ゴルフ』の売上本数はなんと246万本!

大ブームになったファミコンは、子どもに大人気で、さまざまなゲームが登場しました。ただ、それを楽しんでいたのは子どもだけではなく、大人たちも夢中になっていました。そんな、大人たちの心をつかんだソフトの一本が、1984年5月1日に発売され、本日で40周年を迎えた任天堂の『ゴルフ』です。

実際にコースへ行くよりもお安く、手軽にゴルフが楽しめたからでしょうか。「父親が買ってきた」という家庭も少なくなかったという『ゴルフ』は、なんと約246万本も売り上げるほどの大ヒットを記録。当時、『マリオ』や『ドラクエ』と並び、どの家に遊びに行っても必ずといっていいほど置いてあるソフトでしたから、その売上本数にも納得できます。

246万本という記録は、2006年にWiiで『Wii Sports』が発売されるまで、任天堂のスポーツゲームではトップの数だったそうです。これ以外にも、7位に『ベースボール』、15位に『テニス』、16位に『サッカー』が入っており、ファミコンブーム初期の任天堂のスポーツゲームが、とてつもなく売れていたことがよくわかります。

■初めて触れたゴルフは、子どもには手探りの未知のスポーツだった!

筆者がゴルフというスポーツをプレイしたのは、この『ゴルフ』が初めてであることは間違いありません。小学生がコースを回る機会なんてそうそうありませんからね。

さすがに小学生だった筆者はゴルフのルールを把握していなかったので、クラブの選択やパーとかボギーとかよくわからず、最初の頃はキャラクターの下にある「プレイヤー打力メーター」を見ながらボールを飛ばして、グリーンの穴に入れればいい……ぐらいの感覚でプレイしていました。

本作には1人で遊ぶモードと、2種類のルールで2人が対戦できるモードがあります。でも、当時は友達と遊ぶときでも、対戦ではなく1人プレイで一打ずつ交互に打って、やれ海に落ちたとかバンカーだとかOBになったとかで盛り上がっていた記憶があります。

■ルールを(なんとなく)覚えて、ストイックすぎるゴルフの魅力を知る!

そんなこんなでルールを覚え、クラブごとのボールの飛距離を覚えてくると、そこから先はスポーツというよりゲームの世界。

といっても、クラブによる飛距離は説明書に書いてあるものしか参照できるものはなく、またゲーム中もティーグラウンドからピンまでの距離しか表示されてないので、「このクラブなら大体これぐらい飛ぶ」というのをプレイを重ねて体得。そこに風速と風向、そしてショットを打つ方向にインパクトのタイミング、スライスとフックの打ち分けなどの要素を加味して考えるコースの攻略が非常に楽しかった覚えがあります。

以後に発売されたゴルフゲームなどに比べれば、できることはシンプルですが、それゆえに奥深いのがファミコンの『ゴルフ』です。同じコースでも風向きや、そのときのプレイ感覚によってスコアが全然違ってしまう。相手と勝敗を競う他のスポーツと違って、自分との戦いというストイックなプレイを続けられるか、それが『ゴルフ』の面白さだとゲームを通して多くの子どもたちが学んだはずです。

■大人が遊んで面白いものは子どもが遊んでも面白い!

『ゴルフ』がロングセラーになった要因は、大人が楽しめたからともいわれています。しかし、大人が遊んで楽しいものは、遊び方さえわかれば子どもだって楽しいのです。

確かに、子どもの頃に実際にゴルフクラブを振る機会はほとんどないでしょうし、ルールも簡単ではありません。でも、ゲームであれば子どもだって楽しめるのです。大人は『ゴルフ』として、子どもは『ゲーム』として遊べる。年齢にかかわらず楽しく遊べたゲームというのも、『ゴルフ』がロングセラーになった一因なのかもしれませんね。

© 株式会社双葉社