なぜ昌平は川崎U-18の猛攻をしのぎきれたのか?試合から見えた昌平の現在地

昌平 vs 川崎フロンターレU-18(写真=佐藤亮太)

 4月28日、高円宮杯 JFA U−18サッカープレミアリーグ2024 EAST第4節で昌平川崎フロンターレU-18と対戦。試合は昌平が前半31分、FW15鄭志錫(3年)のゴールで先制。後半開始早々、MF10山口豪太(2年)の得点で突き放したが、その2分後、川崎U-18 FW17恩田 裕太郎(2年)のゴールで1点差に。しかし昌平は後半44分、FW11長 璃喜が追加点をあげ、3-1で勝って、3戦全勝の川崎U-18に土をつけた。

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 3-1のスコア。そしてシュート数、昌平10本に対し川崎U-18は5本と数字で見れば、昌平の快勝といえる。しかし、その実は違って、明らかな辛勝というべきだろう。1ゴール1アシストの昌平・MF9岩谷勇仁(3年)は「正直、相手の攻撃はめちゃめちゃ怖かった」と話せば、同じく昌平DF4坂本 航大(3年)は「前半から押しこまれる時間帯があったので、きょうはちょっとまずいかなと感じました」とかなり危機感を抱いていたことがわかる。

 特に川崎U-18の攻勢が強まった後半、昌平は自陣から出ることはあまりなく、ペナルティエリア付近でくぎ付けの状態となった。ただ、昌平イレブンは慌てていなかった。DF4坂本は「相手の2番の選手(DF2柴田翔太郎)のクロス以外で決定機は作られなかったですし、最終ラインの4人が壁となったので失点する気はしませんでした。また焦れずに自分たちのペースでサッカーすることを意識しました。攻撃陣は揃っているので、やってくれるはずと信じていました」と話すなど、終盤の追加点を踏まえると、想定通りの試合運びとなったといえる。

 この守備の手ごたえは玉田圭司監督が就任以来、前線からのプレスだけでなくコンパクトな守備を意識づけしていることが功を奏している。とともにメンタル面も大きく作用している。

 「きょうは首位相手なので、連勝を止めるというか、食ってやろうという気持ちでした」とMF9岩谷。その言葉を裏付けるように勝因を、玉田監督は選手の勝ちたい気持ちの強さをあげた。「(選手には)相手へのリスペクトは大事だけど、リスペクトしすぎることはいけない。自分たちの力を出せば、相手を上回れる展開、内容ができる。自信をもってやれば上位でもやれる、そのことを伝えたかった。きょうの試合で選手は体感できたと思います」と手ごたえを語った。

 この勝ちたい気持ちこそ、少ないチャンスを生かした、とどめの3点目につながった。試合中、決して声を荒げることなく、静観の構えの玉田監督から選手への信頼感が伝わる。

 「僕は選手の判断を大事にしたいです。(他人に)言われてやるのではなく、みずからやっていくというところにむかわせたい」。そこには、監督自身、サッカーを始めてから現役時代を経て、これまで一貫して、大事にしてきた「サッカーを楽しむ」という揺るがない信念が通底している。

(文・写真=佐藤亮太)

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