ナスやキュウリ、カビ病害多発の恐れ 高温多雨続く予報 県が注意報発表

「すすかび病」が発生したナスの葉(熊本県病害虫防除所提供)
「灰色かび病」が発病したキュウリの実(熊本県病害虫防除所提供)

 4月以降、高温や降雨が続き、カビの増殖による農作物の病害が広がっている。熊本県の調査では出荷期を迎えているナスやキュウリ、麦で平年に比べて被害が増加。県は、県内全域の生産者に農業ハウスの換気などの対策を呼びかけている。

 県が4月に実施した産地調査では、キュウリの花や実を腐らせる「灰色かび病」の発生率は31・7%(平年比約12・1倍)で、過去10年で最も高かった。ナスの葉を枯らす「すすかび病」の発生率は65・2%(約1・7倍)。麦でも「赤かび病」が多発しており、いずれも多湿によるカビの増殖が原因という。

 県病害虫防除所は19日に麦、24日にナスとキュウリについて、生産者らに警戒を呼びかける注意報を発表。カビによる病害が広がると、光合成ができなくなるなど農作物の回復が困難になるため、多湿を避けるよう予防を促している。県農業革新支援センターも、畑の排水や薬剤の散布時期に注意するといった対策をまとめ、ホームページに公開している。

 福岡管区気象台によると、熊本を含む九州北部の今後1カ月の気象については、気温が平年より高く、降水量も平年並みか多くなる見通し。換気しにくいハウス栽培ではカビ病害が多発する可能性があり、防除所の担当者は「収量を大きく減らす要因になり得る。天気を見ながら予防対策を徹底してほしい」と話している。(馬場正広)

赤かび病を発病した小麦の穂(熊本県病害虫防除所提供)

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