文化庁100年フードに「戸次のほうちょう」 県内認定4番目、大分市では初【大分県】

100年フードに認定された「戸次のほうちょう」
麺を伸ばす戸次鮑腸保存会のメンバー=大分市の大南老人いこいの家

 【大分】世代を超えて受け継がれた食文化をたたえる文化庁の2023年度の「100年フード」に、大分市戸次地区に伝わる麺料理「戸次のほうちょう」が認定された。県内では竹田市の「頭料理」、佐伯市の「ごまだし」、臼杵市の「黄飯」に次いで4番目。大分市では初となる。

 100年フードは日本の多様な食文化の継承・振興への機運を醸成しようと、文化庁が21年に創設。これまで250件が認定され、23年度は全国から60件の応募があった。▽江戸時代もしくはそれ以前から続く伝統部門▽明治・大正期に生まれた近代部門▽100年の継承を目指す未来部門の3部門があり、ほうちょうは伝統部門で選ばれた。認定されると同庁のウェブサイトで紹介され、特製ロゴマークを使用できる。

 戸次のほうちょうについては江戸時代の文献に記載があり、大分市を中心にお盆や祭りなどで客をもてなすごちそうとして振る舞われてきた。18年には市無形民俗文化財に指定された。

 麺作りに特徴があり、地元産の小麦粉をこねて、何度か寝かせながら、手や指を使って長さ2メートル以上になるまで伸ばして完成させる。ゆでた麺を乾シイタケといりこ、昆布、かつお節などから作っただし汁に漬け、カボス、ショウガ、ネギ、ごまの薬味と一緒に味わう伝統の逸品。

 調理に手間暇がかかり、かなりの熟練が必要であることから、家庭では作られなくなった。伝統を受け継ぐ戸次鮑腸(ほうちょう)保存会(工藤文子会長)には60~80代の16人が所属し、地域の祭りやイベントで提供したり、地元の小学生にほうちょう作りを教えたりする活動を続けている。18日には地区の八幡神社の春祭りで提供する予定。

 毎月第3土曜日には大南老人いこいの家で練習会も開いている。工藤会長(74)は「地元でも食べたことがない人がおり、どうやって広めていくかが課題。これからもほうちょう作りの技を受け継ぎ、たくさんの人に味を知ってもらいたい」と話している。

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