米ボーイング宇宙船「スターライナー」、7年越しの有人飛行試験迫る

Boeingの宇宙船「CST-100 Starliner」の米国時間5月6日の打ち上げに先立ち、宇宙飛行士による宇宙服を着たドレスリハーサルが実施された。

Starlinerは有人飛行試験(Crew Flight Test:CFT)として、国際宇宙ステーション(ISS)に宇宙飛行士を輸送する。ミッションはケネディ宇宙センターからUnited Launch Alliance(ULA)の「Atlas V」ロケットで打ち上げられる。

ミッションに参加する宇宙飛行士のButch Wilmore氏とSuni Williams氏、Mike Fincke氏(今回はバックアップクルー)は宇宙服を着用し、専用車両「Airstream Astrovan II」でAtlras Vに移動し、宇宙船に登るなどを実施した。

BoeingのバイスプレジデントでStarlinerプログラムでマネージャーを務めるMark Nappi氏は、Boeingが米航空宇宙局(NASA)のために飛行することに向けてStarlinerの製造を強化している背景を含め、「民間の宇宙飛行士が飛行する予定は現時点ではない」と述べている。

(左から)Butch Wilmore氏、Mike Fincke氏、Suni Williams氏。Wilmore氏がコマンダー(船長)、Williams氏がパイロット(操縦士)を務める。Fincke氏はバックアップクルー(出典:Mike Fincke氏公式Xアカウント)

Starlinerは4人乗りの宇宙船で、NASAとの契約「商業乗員輸送プログラム(Commercial Crew Program:CCP)」のもと、宇宙飛行士をISSに輸送する(CCPでは、すでにSpaceXの「Crew Dragon」が実運用されている)。2022年5月に打ち上げられた無人での2回目の軌道飛行試験(Orbital Flight Test 2:OFT-2)では、打ち上げからISSへのドッキング、地球への帰還に成功した

だが、安全性に問題があるとして、これまで有人での飛行は延期されてきた。

当初、NASAとBoeingは2010年に最初の契約を交わし、これまでの契約総額は45億ドルとみられており、超過費用は14億ドルとされている。CFTは当初、2017年が計画されていた。

今回のCFTに参加する宇宙飛行士の2人はISSに約1週間滞在する予定。CFTが成功すれば、Starlinerによる正式な宇宙飛行士の輸送ミッションは2025年以降になるとみられている。

関連情報
Mike Fincke氏公式X(旧Twitter)アカウントツイート
NASAミッションページ
Boeingミッションページ
Space.com

© 朝日インタラクティブ株式会社