ヴァイセアドラーがリーグ参戦を断念、休部へ【大分県】

残った選手が練習を続ける体育館。30日に正式にチームの休部が告げられた=大分市屋山の大分三好ヴァイセアドラー練習体育館

 バレーボールVリーグ男子の大分三好ヴァイセアドラーは30日、今年発足する新リーグへの参戦を辞退したと発表した。3月にオーナーが急死し譲渡先を探すなど立て直しを図ったが、申請期限までに打開策は見つからなかった。残った選手には休部(5月20日)が告げられた。県内プロスポーツをけん引した一角が崩れることになった。

 今年はリーグ機構改革年に当たり、チームは2部に降格した昨年からトップリーグ参戦を模索していた。創部から支えた三好内科・循環器科医院(大分市)院長の三好博(あつし)部長が亡くなり、4月17日のリーグ理事会ではライセンス交付に「停止条件」が付いた。

 30日までに資金繰りの基準を満たすことを求められた上、参戦時の試合会場の手配などを踏まえて早期決断を迫られた。解散になった場合は選手が移籍先を探す時間を確保する必要もあった。

 最悪の事態を避けようと、現役選手らが交流サイト(SNS)を通じてライセンス交付期限の延長を求める署名活動なども展開したが、事態は好転しなかった。

 大分市出身のOBで、看護師の島崎征士郎さん(33)は「短い期間で厳しい状況を何とかしたかった。このままチームがなくなるのを黙って見過ごせない」と引き続き声を上げるという。

 大分三好は2006年に国内最高峰のVプレミアリーグに昇格。九州唯一の男子チームとして、国内有数の実業団と渡り合ってきた。

 競技熱を共に盛り上げてきた県バレーボール協会の安東英児理事長(54)は「県内に与えてきた功績は非常に大きく、ジュニア世代の育成など普及活動にも長年携わってくれた。近年は興行面で苦しみ、地方発の限界もあったのではないか」と残念がった。

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