伊藤久男の幻の楽曲を初音源化 「福島三羽烏」古関裕而作曲、野村俊夫作詞 福島県本宮市

「あぶくま川」を収録する原田さん(前列左から4人目)と荒井混声合唱団のメンバー

 福島県本宮市出身の歌手伊藤久男さんの活動を顕彰する「伊藤久男モニュメント建立実行委員会」は、伊藤さんと親交が深かった福島市出身の作曲家古関裕而さんと同市出身の作詞家野村俊夫さんが伊藤さんに贈った曲「あぶくま川」を初めて音源化した。1日からCD300枚を頒布し、「福島三羽烏(がらす)」といわれた県内出身の3人に改めてスポットを当てる。今秋に福島市古関裕而記念館でミニコンサートを予定しており、顕彰活動を本格化する。

 「あぶくま川」は1963(昭和38)年、伊藤さんの歌手生活30周年を記念し本宮市で開かれた音楽会にあわせて作られた。2019(令和元)年に実行委のメンバーが市内の伊藤さんの生家で写真などを整理していたところ楽譜が見つかった。曲の存在は知られていたが、レコード化されていない「幻の楽曲」だった。古関さん作曲の特徴であるクラシックの雰囲気が感じられる音域の広い曲だという。

 見つかった楽譜はメロディーのみだったため、市内の合唱指導者千葉美智子さん(77)が編曲して前奏や伴奏をつけ、浪江町出身のシンガー・ソングライター原田雪見さん(47)と地元の荒井混声合唱団がそれぞれ歌を録音した。古関裕而記念館が日本著作権協会(JASRAC)などの申請に協力した。

 実行委の中心メンバーで音源化実現に向けて動き続けていた松山捷成さん(81)は「伊藤さんをはじめ3人の友情や功績を改めて知ってもらうきっかけにしたい」と語った。CDは1枚税込み1千円。

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