「実感あるか!」自民党「賃上げ実現」「経済再生」の宣伝文に「ステルス増税」に苦しむ国民総ブーイング

衆院補選「惨敗」という結果が岸田政権への信頼の低さを物語っている

自民党広報のXは4月25日、《【経済再生 実感をあなたに。】この春、2年連続で大幅な賃上げが実現しました。引き続き、価格転嫁対策、地方創生、規制改革、成長戦略など政策を着実に進め、経済成長の成果を“実感”として日常生活にお届けします。》と題した宣伝文書2枚を投稿した。

1枚めには、《実感をあなたに。数字で見る経済再生》のタイトルで、賃上げ率(2024年)非正規6.08%UP、中小組合4.7%UP、正社員5.20%UP、民間平均給与435万円(2020年)が458万円(2022年)に、と景気のいい数字が並んでいる。公的年金の運用益は24兆円増(2023年度)。

さらに、外国人旅行者の消費額が2019年から0.5兆円増(2023年度)、外国人旅行者は2507万人(2023年度)で、コロナ禍後、インバウンドが大幅に回復とある。

そして《経済再生・デフレ完全脱却へ》として、日経平均株価が史上初めて4万円を突破したことや、名目GDP、企業の経常利益、民間の設備投資、国・地方の税収合計などがアップしていると、数字をあげている。

2枚めは、《物価上昇を超える、さらなる「賃上げ」を実現する。》のタイトルで、《賃金上昇を確実なものにするため、賃上げ促進税制を強化するなど「構造的。持続的な賃上げ」に全力で取り組みます》として、《今年6月に定額減税を行い、物価上昇を上回る本格的な収入増へとつなげます》《収入減を防ぎ、手取りを増やします》などの公約を掲げている。

政治担当記者が言う。

「厚生労働省が8日、発表した2月の毎月勤労統計調査によれば、物価変動を考慮した実質賃金は前年同月比1.3%減で、23カ月連続のマイナスでした。また、子育て支援制度では、公的医療保険に上乗せして負担額を徴収する方法に、専門家から『国民を欺く隠ぺい増税』との批判が出ていますし、国民年金の納付期間を65歳まで5年間延長する案では、支払額が約100万円増えることになるなど、国民は今後もひとりひとりの負担額が増えることに将来への不安を抱いています」

案の定、自民党の文書には、発表当日からSNS上に多くの批判コメントが寄せられた。

《そんな実感あるか! 自民党の一味なら500万円まで脱税オーケーなんだな、という納税者としての実感しかないのだが。》

《賃金が仮にちょっとあがっても税金や保険料が上がったら手取り減るし、さらに物価が上がったら生活キツくなるだけ。さらに電気代も上って、これからもステルス増税が続く》

《実感ね~ 給与明細書見ていると溜息しか出ません。何故かって?!社会保険料で天引きされる金額ですよ》

《1円も賃金上がってませんし、物価上って、増税されて、賃金上がってない 中小企業社員は苦しいどころじゃないですよ 簡単に経済再生とか使わないで欲しい》

自民党ベテラン議員秘書が言う。

「広報が発信しているものとは別に、次の衆院選候補者に向けた政治活動用バージョンが用意されています。それは2枚めの最下段部分に《自民党〇〇県第〇選挙区支部長 自民太郎》と書かれたもので、候補者予定者が有権者に配るチラシ用ですね。今回のこの広報発信資料に対して、かなり批判が出ていることは承知しています。岸田さんは国民が苦しい生活を強いられていることをどうやらよく理解できていない感じがします。岸田政権はいまは何をやっても国民から反感を買う状況ですので、耐え忍ぶしかないですね」

岸田文雄首相は30日午前、記者団に対し、衆議院の解散については「ひとつひとつの課題に取り組み、結果を出すことに専念しなければならず、まったく考えていない」と否定した。が、前出の記者は「どんな首相も、解散する直前までそう話すものです。額面どおりに受け取った永田町の関係者は多くはないですね」と話す。

生活が少しでも楽になった実感を得られるのは、いつになるのだろうか。

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