TEケルシーの年齢による衰えを心配していないチーフスGMヴィーチ

カンザスシティ・チーフスのトラビス・ケルシー【AP Photo/David Becker】

現地4月29日(月)、カンザスシティ・チーフスは2年3,425万ドル(約54億0,456万円)の新契約を提示することで34歳のトラビス・ケルシーをNFLで最も高額の年俸を誇るタイトエンド(TE)にした。

将来、殿堂入りを果たすと見られているケルシーが、たとえ年齢を重ねていたとしても、NFLで最高の年俸およびNFL史上トップクラスの報酬を誇るタイトエンドになる契約を獲得したことに疑問の余地はない。

月曜日に契約延長を発表した後、ジェネラルマネジャー(GM)ブレット・ヴィーチはケルシーのことを繰り返し“異常値”と呼び、年齢を重ねるにつれて成績が下がるとは予想していないと述べた。

チーム公式記録によると、ヴィーチGMは記者会見で「ときどき、異常値のような選手がいる。トラビスは確実にそういう選手の1人だ。面白い。まだ5月にもなっていないのに今日、私たちにはフェーズ2で外に出る機会があって、みんなが外で走っていた。トラビスは先頭にいて、28歳に見えた」と語ったという。

30代半ばまでプレーしていた偉大なタイトエンドたちの成績はまちまちだが、予想できる通り、全体的な数字は確実に減少していた。

タイトエンドの中でキャリア後期に最高の成績を残したのは、37歳までプレーしていた元TEトニー・ゴンザレスだ。カンザスシティ・チーフスやアトランタ・ファルコンズに所属していたゴンザレスは、36歳にして930ヤードを稼いだ2012年シーズンを含め、35歳を超えてからの3シーズンで800ヤード以上を記録している。

アントニオ・ゲイツは35歳を超えてからの4シーズンで一度も650ヤードの大台を突破できず、最後の2年間は350ヤードを下回っていた。1年間にわたって競技から退いた後に復帰を果たしたジェイソン・ウィッテンが、キャリア終盤に自身の平均的な成績に近づくことはなかった。シャノン・シャープは35歳でプレーしたシーズンに770ヤード、タッチダウン8回をマーク。グレッグ・オルセンとバーノン・デービスは35歳で臨んだキャリア最後のシーズンに記憶に残らないような成績を残している。

また、ロブ・グロンコウスキーやケレン・ウィンスロー、オジー・ニューサムなど、30代半ばまでプレーできなかった偉大な選手もいる。

ヴィーチGMは「繰り返しになるが、30歳を過ぎてからこれほどプレーできる確率は非常に低いものの、そういうことは起こりうる。それはプロフェッショナルなユニコーンに起こることで、トラビスもその1人だ」とコメント。

「私たちは確実にこのことについて彼を称賛しているし、もっと長くこのままいられたらいいなと思っている。どうなるかは分からないが、彼がペースを落とす気配はない。彼がポストシーズンでさらにギアを上げていたことには皆が気づいている。そういう特別な選手はいつでもギアをもう一段階上げることができる。繰り返しになるが、誰かにそれができるなら、トラビスにもできる」

7年連続で1,000レシーブヤード超えを達成していたケルシーだが、2023年は複数のケガに悩まされて2試合を欠場し、984ヤードという記録だった。レギュラーシーズンで活発さに欠けていたことは本人も認めるだろう。しかし、ポストシーズンを迎えると、ケルシーは再び圧倒的な強さを取り戻した。ケルシーはキャッチ32回(ポストシーズンにおけるキャリアハイ)、355ヤード、タッチダウン3回をマーク。スーパーボウルで重要なキャッチを決めた後にサンフランシスコ・49ersのディフェンダーから逃げ回っていた姿から判断すると、ケルシーはあと数シーズンにわたってプレーできそうだ。

2024年のチーフスにとっては、プレーオフに臨む頃には35歳になっているケルシーがそこで万全の力を発揮できるように、レギュラーシーズンの17試合を通して仕事量のバランスを取ることがカギとなるだろう。マーキス・ブラウンや新人のゼイビア・ワーシーといった新加入のワイドレシーバー(WR)たちが長いシーズンの中で負担の一部を担うことが期待されている。

【RA】

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