日本相撲協会は30日、大相撲夏場所(5月12日初日・両国国技館)の番付を発表し、西大関の琴ノ若=佐渡ケ嶽親方(元関脇琴ノ若、尾花沢市出身)の長男=が「琴桜」に改名し、元横綱で祖父のしこ名を襲名した。
夏場所から元横綱の祖父のしこ名で土俵に上る大関琴ノ若改め琴桜は30日、千葉県松戸市の佐渡ケ嶽部屋で記者会見を開き、「この世界に入って常に上を目指してきた。先代に追いつけると思っている」と、綱とりへの強い決意を示した。
50年ぶりのしこ名復活とあって、約50人の報道陣が集まった。桜カラーのピンクの着物姿で臨んだ琴桜は、新しこ名が記された番付表を手に「ずっと琴ノ若で(番付が)上がってきたので、思ったより実感がない」と率直に語った。それでも、2007年に亡くなった先代師匠の祖父と大関昇進で襲名する約束を交わしていたことについて「自分の手でつかめた。約束を守れて良かった」とかみしめるように話した。
琴桜は「しこ名が変わったから、何かが変わるわけではない」とも語り「今まで通り、しっかりと稽古を積み、やれることをやっていかなければならない」と気を引き締めた。地力のある力士がそろう夏場所の目標を「もちろん優勝」と明言し「周りは関係ない。自分の相撲をきっちり取ることが本当に大事だ」と強調した。
父で師匠の佐渡ケ嶽親方(元関脇琴ノ若、尾花沢市出身)が会見に同席し「先代から素晴らしいしこ名を頂いた。花と言えば桜、相撲と言えば琴桜。強く、愛される力士に育ってほしい」と激励した。8月11日に開かれる夏巡業「尾花沢場所」では、新たなしこ名で第二の古里に凱旋(がいせん)する。親方は「大関として戻ってくるという約束がかない、本人も胸を張って帰れると思う」と話した。