歌人・斎藤茂吉が疎開した大石田町の聴禽書屋(ちょうきんしょおく)の庭で、茂吉が愛した「オキナグサ」が見頃を迎え、濃い赤紫色のがくを広げた気品ある姿が、訪れた人に癒やしを与えている。見頃は5月中旬まで。
少雪のため昨年よりも10日ほど早く咲き始めた。植生範囲は年々広がり、今は80株ほど。町学芸員の大谷俊継さん(41)は「庭のアララギを含め、茂吉の存在を感じられる場所。時間をかけて味わってほしい」と話す。
茂吉は1946(昭和21)年2月から2年弱、資産家の離れで生活し、四季を通じ鳥がやってくることから聴禽書屋と名付けた。茂吉が歌集「白き山」に「おきなぐさここに残りてにほへるをひとり掘りつつ涙ぐむなり」と詠むなどオキナグサを愛し、78年に近くの寺から移植された。