元ブロンコスCBクリス・ハリスJr.が12シーズンを経てNFLを引退

デンバー・ブロンコスのクリス・ハリス【AP Photo/Rick Scuteri】

コーナーバック(CB)クリス・ハリスはこれ以上の電話を待つのをやめ、自身のキャリアに幕を下ろすことを決めた。

オファーを受けるために準備をしていたものの、チームからの関心を引くことができなかったベテランのハリスは、12シーズンを過ごしたNFLを正式に引退する。

現地4月30日(火)に掲載された『The Denver Gazette(デンバー・ガゼット)』の記事によると、ハリスは次のように述べたという。

「1年間待ち続けながら、体を鍛えていたんだ。でも、みんなが若い選手、新しい世代に移行していることに気づいた。だから、もう終わりにしようと思ったんだ」

2011年にカンザス大学からドラフト外でNFLに入ったハリスは、プロキャリアで際立った才能を示しており、2010年代半ばのデンバー・ブロンコスの“ノーフライゾーン”ディフェンスのコーナーバックとして重要な役割を担った。ハリスがアキブ・タリブ、T.J.ウォード、ダリアン・スチュワートとともに形成した当時のブロンコス守備陣は、2015年に1試合あたりの許したトータルヤードおよびパスヤードでリーグ最少を記録しており、NFLで最も強力な守備ユニットの1つとして機能した。この守備陣は、2015年のNFL MVPに輝いたクオーターバック(QB)キャム・ニュートンとカロライナ・パンサーズを抑えての第50回スーパーボウル優勝に大きく貢献している。

ハリスは気迫で勝利をつかみ、自身のキャリアを築いていった。粘り強いディフェンダーであるハリスは、ボールへの嗅覚に優れた猛烈なタックラーであり、ブロンコスでの9シーズンでインターセプト20回をマーク。無名選手からそのキャリアを始めたハリスは、のちに殿堂入りしたQBペイトン・マニングのNFLでの最後の数年を完璧に支えたブロンコス守備陣の中核としての地位を確立した。

マイルハイシティでの9年間で、ハリスはプロボウルに4回選出され、オールプロのファーストチームにも1回(2016年)選ばれており、2013年と2015年のシーズンにスーパーボウルに出場したブロンコスの主力選手として全盛期を過ごした。ハリスのキャリアを特徴づけるのは、その一貫した高いパフォーマンスだ。それを受けて、ハリスはプロフットボールの殿堂の2010年代オールディケイドチームにも選ばれている。

ブロンコスが再建期に入ると、ハリスは馴染み深いながらも新しい場所に次の働き口を見つける。2020年にロサンゼルス・チャージャーズと2年2,000万ドル(約31億5,592万円)の契約を結び、ライバル関係にあるブロンコスとチャージャーズの間で、所属チームを変えることになった。チャージャーズとの契約期間中に、ハリスはタックル74回、インターセプト2回、パスディフェンス8回をマーク。その後、2022年にニューオーリンズ・セインツで再びプレーする機会を得ている。

ハリスはこうつけ加えた。

「俺はほとんどのことを成し遂げられた。唯一受賞できなかったのは年間最優秀守備選手賞だ。オールディケイドに選ばれたことが一番うれしかった。本当にありがたいことだと思うね。ドラフト外からスタートしたから、なおさらだ。俺はキャリアの大半を戦い抜いてきたけれど、それを乗り越えることができたことは、間違いなくうれしいことの1つだ」

33歳のハリスは、2023年にもう1度スーパーボウルリングを追い求める最後のチャンスが来ることを期待し、競争力のあるチームからのオファーを待つことを選んでいる。しかし、そのようなオファーはなく、2023年シーズンは体を鍛えながら、遠くから見守ることになった。

今となってはもう、ハリスは電話を待つことに興味を持っていない。長く充実したキャリアを終え、スーパーボウルリングを獲得したハリスには、人生の次のステップに進む準備ができている。

【KO】

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