青森県内住宅の16.7%、9万8800戸が空き家 5年で1万増、過去最多更新

 総務省が30日発表した住宅・土地統計調査(速報値)によると、青森県の空き家数は2023年10月1日時点で9万8800戸と、5年前の前回調査から約1万戸増え、過去最多を更新した。住宅総数に占める割合(空き家率)も18年比1.7ポイント上昇の16.7%で過去最高。人口減少や高齢者の単身世帯の増加を背景に今後も空き家は増える見通しで、県は本年度、相続の仕組みや空き家の活用方法をまとめた冊子の作成など新たな対策に着手する。

 住宅総数は18年比1300戸減の59万1100戸。青森県の空き家率は全国平均(13.8%)を2.9ポイント上回った。

 空き家を種類別に見ると、賃貸・売却用や別荘などを除いた使用目的がない「空き家」が18年比9200戸増の5万5千戸で最多。賃貸物件が3万9900戸で続いた。

 管理が行き届かない空き家が放置された場合、景観の悪化、雪や強風による倒壊などが懸念される。

 県はこうしたトラブルを未然に防ぐため、24年度から3カ年の事業で、相続の仕組みや空き家の活用方法をまとめた冊子「空き家エンディングノート」の作成に取り組む。神奈川県などの先行事例を参考に24年度内に冊子を完成させ25年度から県内各地に配布する。

 民間事業者や市町村職員を対象に空き家の活用に関する研修会なども開く予定で、県は初年度の経費として24年度一般会計当初予算に約1千万円を計上した。

 県建築住宅課の担当者は「人口減少などの要因が変わらない中、空き家の数を減らすのは難しいので、活用方法などをPRしていきたい」と述べた。

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住宅・土地統計調査 国内の住宅事情を把握するため1948年から5年ごとに実施している。今回の2023年調査は各地の計約340万戸を抽出した上で、建築時期や構造、居住の有無などを調べ、全国の状況を推計している。国が特に重要とする「基幹統計」の一つで、空き家対策など国や自治体の住宅政策に活用される。市町村別の状況など詳細結果は順次、発表予定。

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