暗号資産取引バイナンス元CEOに禁錮4カ月 資金洗浄法違反で米裁判所

米シアトルの裁判所は4月30日、暗号資産取引業最大手バイナンスの創業者、趙長鵬(チャンポン・ジャオ)被告に対し、反マネーロンダリング(資金洗浄)法違反の罪で禁錮4カ月を言い渡した。プラットフォーム上で犯罪者が資金洗浄を行っていたのを看過したとされた。

趙被告は昨年11月、反マネーロンダリング法違反について罪を認め、バイナンスの最高責任者(CEO)を辞任している。

裁判所はバイナンスに対しても、利用者が世界各地で制裁を免れる手助けをしていたとして、罰金など43億ドル(約6370億円)の支払いを命じた。

検察側は、趙被告に禁錮3年を求刑していた。

技術系メディア「ヴァージ」によると、リチャード・ジョーンズ判事は量刑言い渡しの際、趙被告が「バイナンスの成長と利益を、アメリカでの法令順守より優先させた」と述べた。

米当局は昨年11月の時点で、バイナンスと趙被告の「故意の法律違反」が、アメリカの金融システムと国家安全保障を脅かしていると指摘していた。

ジャネット・イェレン財務長官は、「バイナンスは利益を追求するあまり、法的義務に目をつぶっていた」と指摘。

「その故意の失敗により、バイナンスのプラットフォームを通じてテロリストやサイバー犯罪者、児童虐待者に資金が流れることを許してしまった」と述べた。

米誌「フォーブス」によると、趙被告の総資産は330億ドルに上る。

ケイマン諸島で登記しているバイナンスは、世界最大の暗号通貨やデジタル資産の取引プラットフォームを運営している。

バイナンスについては現在、ナイジェリア当局も捜査を行っている。

4月には、同社で金融犯罪に関する法令順守担当を務めていたティグラン・ガンバラヤン被告が、ナイジェリアの法廷で資金洗浄の罪状について否認した。

ガンバラヤン被告と共に拘束されていた幹部のナディーム・アンジャルワラ容疑者は、3月にナイジェリアから逃亡している。

(英語記事 Binance crypto boss Changpeng Zhao sentenced to 4 months in prison

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