「東京タワー」原作・江國香織が撮影現場を訪問。永瀬廉&板谷由夏とのSP鼎談も実現

テレビ朝日系で放送中のオシドラサタデー「東京タワー」(土曜午後11:00)の原作者・江國香織氏がドラマの撮影現場を訪問。主演の永瀬廉、共演の板谷由夏とのスペシャル鼎談が実現した。

「東京タワー」の原作は、2004年に「号泣する準備はできていた」で直木賞を受賞し、「きらきらひかる」「神様のボート」「冷静と情熱のあいだ」など、これまでに数々映像化された作品を送り出してきた江國氏の同名小説。21歳の青年・小島透(永瀬)と、20歳以上年の離れた人妻・浅野詩史(板谷)の美しくも許されない愛を描く。また、もう1組の禁断の愛を重ねる男女である、大原耕二を松田元太Travis Japan)、川野喜美子をMEGUMIが演じる。

令和になって「東京タワー」がドラマ化されたことに江國氏は「すごくびっくりしました。(『東京タワー』を)書いたのがすごく前だということだけでなく、今って倫理的なことなども厳しい世の中ですし、若い方々が恋愛にあまり興味のない時代だと聞いていたので、どうして今これをドラマ化するんだろう、と不思議な気がしました」と率直な思いを口にする。

永瀬は原作に関して、「許されない恋っていうのが、やはり大きな軸になってくる物語なのですが、“湿度”をそこまで感じない、だからこそすごく読みやすかったです。紡がれている言葉もすごく奇麗で、読んでいて情景が頭に浮かんで、ストーリーがスッと入ってくるんですよね」と作品の魅力を伝える。

一方、板谷は「私はまさに20代の時にリアルタイムで読んでいたので、まさか自分が『東京タワー』で詩史を演じることになるなんて思ってもいませんでした」と兼ねて作品のファンだったことを明かしつつ、「読み返してみてあらためて思うのは、人と人がひかれ合う恋愛の根っこの部分って、年齢を重ねたからこそ分かることもあるということ。最初に読んだ時と感覚が違うな、って思ったんですよね。あ、年齢を重ねるのも悪くないな、って。当時20代の頃はきっと詩史に当てはめては読めなくて、どちらかというと透くんに自分を置き換えていた気がするけど、今となっては大人が持つ切なさや焦りや、そういった感情を当事者として感じることができるので、『あぁ、小説って時代とか時期によって全然違うものなんだな』って思いましたね」と、出版当時との感じ方の違いにも触れた。

実際に現場を訪れ、撮影を見守った江國氏は、板谷から「大丈夫でしたか? 私たち…」と尋ねられると、「はい、もう…美しかったです。小説って、言葉には肉体がないですから、ある意味なんでも自由に書けますし、読む人も自由にイメージできますけど、生身の肉体を持った役者さんたちが“演じる”というのはすごく大変だろうな、って思いました。でも本当にお二人が美しかったので、ますます楽しみになりました」と太鼓判を押した。

そして、今回ドラマ化されるにあたり、青年たちの自立や成長といった部分が新たにテーマに盛り込まれたことを受け、江國氏は「すごく新鮮だと思いました。小説を書いた時には、どちらかというと女性2人のどうしようもなさ、切なさをメインに描いていて、男性2人の方はちょっと野放しにしていた感じがあったので、今回はそちらにフォーカスされていて、新鮮でした」と、新たな視点の提案に感銘を受けた様子。

永瀬が「透だけではなく、(親友の)耕二も物語が進むにつれて成長していく気がします。透にとっても耕二の存在は大きく、真逆の描かれ方をしていく2人ですけど、同じことで悩んだり、悲しんだりしながら、より絆が深まっていくような気がしています」と、実際に演じる中で感じたことを述べ、江國氏も「透と詩史、耕二と喜美子がどんな物語を描き出してくれるのか、とても楽しみですし、今日撮影の様子を見せていただいて、ますます楽しみになりました!」と、今後の展開にも大いに期待を膨らませていた。

5月4日放送・第3話。2人で会う時間を重ね、ますます詩史との恋に落ちていく透は、ある日、詩史が建築賞を受賞したことを知る。詩史を祝うためのプレゼントを選んで帰宅した透は、母・陽子(YOU)から「詩史さんとデートしたんだって?」と聞かれ、焦りから慌てて誤魔化す。

その後、詩史から受賞の記念パーティーに出席しないかと誘われた透は、少しでも詩史と同じ時間を過ごしたいという気持ちから、「行く」と即答する。

一方、家庭教師先の人妻・喜美子を誘惑した耕二は、その欲望にあらがうことができず、家庭教師の時間外にも喜美子に会いに現れるようになる。喜美子もまた、耕二の甘い言葉と優しさにあらがえず、2人は禁断の逢瀬を重ねていく。

陽子と共に詩史の受賞パーティーに出席した透は、そこで詩史の夫・浅野(甲本雅裕)に声をかけられる。浅野と詩史との仲むつまじい様子や、まさに理想の夫婦のような振る舞いにいら立つ透だったが、ふいに詩史と2人きりになれる時間が訪れる。

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