[NAB2024 Booth]TVU Networks、配信、制作に関する最新クラウドエコシステムを展示。コンテンツの配信プロセスを簡素化

最新モバイルトランスミッターを展示

TVUブースの注目展示は映像伝送システムだ。ハイグレードモデルとローエンドモデルの展示に注目が集まっていた。

TVU RPS One(左)とTM930(右)

ハイグレードモデルとしては、無線接続、伝送速度、マルチカメラ制作機能を備えた「TVU RPS One」を展示。携帯性を実現しつつ、4K伝送が可能。最大4つのHD伝送にも対応する。RPS Oneの特徴は、この4つの伝送を同時に4系統同時に送れるところだ。電波関係の悪い時は、タッチパネルの選択で1本だけ送るという機能も新しい機能として追加されている。

また、これまでの「TVU One」は5G/4Gx2、4Gx4の搭載を特徴としていたが、TVU RPS Oneは6台の内蔵5Gモデムを搭載する。4KやHD4系統を同時送信しても、安定したビットレートの送信を可能としている。

ローエンドモデルでは、TM1000の後継機種「TM930」の展示にも注目が集まっていた。これまでのTM1000は6モデム搭載を特徴としていたが、4Gも5Gも安定してきてそこまでモデムは必要ないという国内ユーザーからリクエストがあったという。そんな意見を反映して、TM930の内蔵のモデムは3つ(5G×1、4G×2)に対応。TM1000からダウンバージョン実現で、より多くの人が使いやすい低価格を特徴としている。

TVU RPS Oneは小型のバックパック型フォームファクターを実現し、軽量で持ち運べてバッテリー駆動が可能。衝撃吸収付きのバックパックも用意されている(左)

スコアボードのカメラ情報からグラフィックスを自動生成

同社ブースには、クラウドベースのSaaSのソリューションを多数展示。世界的にリモートプロダクションが加速しており、アメリカや日本を含めたユーザー向けのソリューションのいろいろな提案が行われていた。

TVU Producerは、クラウドベースのライブストリーミング&ビデオ制作プラットフォームだ。Webインターフェースを使用し、ハードウェアやソフトウェアを必要としないのを特徴としている。新しい機能として、AIを使ってさまざまな自動化を実現。例えばスコアボードのカメラ情報をAI処理して、グラフィックスを自動的に処理する様子をデモしていた。

映像中の「チーム名」と「スコア」を解析してグラフィックスを自動生成

従来、コンピューターグラフィックス専用のオペレーターが在中して、スコアボードの表示をマニュアルで実現を行っていた。しかし、リモートプロダクションになると、できるだけスタッフの数を減らして効率よく制作したいという声が高まっている。そこでAIエンジンに取り込んで、自動的にグラフィックスの部分を更新できる機能を搭載。オペレーターのマンパワーを削減しつつ、できるだけ制作を自動的に効率化できる仕組みを実現している。

クラウドベースのライブ制作コラボレーション

TVU Partylineは、クラウドベースのビデオ会議システムだ。モートプロダクション環境にいるすべてのメンバーが、あたかも同じ物理的空間にいるかのようにシームレスにコミュニケーションできることを特徴としている。

従来のビデオ会議システムの一番のネックは、一般的に映像を高画質の伝送できなかったところだった。TVU Partylineの大きな特徴は、ビデオ会議をしながらフルHDビデオ品質、完全に同期されたオーディオとビデオでリアルタイムに制作ツールを使用し、リモートでコラボレーションすることが可能になる。

NABの目玉として、Partyline上でいろんな会議をしている時の発言者のしゃべった言葉をテキスト化するデモが行われていた。例えば英語から日本語にトランスレーションを自動的にしてくれるので、よりスムーズに例えば国際的ないろいろなコラボレーションが可能になる。

通常のビデオ会議の場合は、高画質で伝送することはできないが、Partylineは高画質な伝送も送ることができて、それをオンエアで乗っけることが可能。また、英語での会話の場合は自動的に日本語に翻訳してくれるので、インタビューしている人があまり英語を得意としない場合でも、これを見ながら会話が可能になる。言語も20カ国以上の対応を特徴としている。

制約のない入出力に対応するハイブリッドビデオルーター

TVU MediaHubは、マルチフォーマットのハイブリッドビデオルーターだ。最近さまざまな中継でIPフォーマットによる伝送が行われていて、それぞれのそのIPフォーマットに応じて、ハードウェアを調べなければいけない煩雑な状況になってきている。そこらをすべてクラウド上で処理して、どのようなIPフォーマットが入ってきても、それを最終的にはアウトプットの必要に応じて変換や配信をするためのシステムだ。

標準的なHLSやSRT、RTMPなど基本的に標準で使われているようなIPのフォーマットは全てサポートしている。それ以外で FacebooK、tiktoK、ZOOMなどの方式もサポート。TVUのラインナップのTVU OneやTVU Anywhere、TVU Gridといった信号も直接クラウドで取り込めるようになっている。

単純な従来の1対1のスイッチ機能だけではなくて、1対多地点への配信にも対応。東京の本局から、地方局へ何十箇所に同時にIP配信を行うような処理もクラウド上でできるようになっている。

例えばアメリカで開催されているゴルフのトーナメントを、日本にはSRT、韓国にはRTMP、ヨーロッパには全く別のTVU Gridで送りたいといった場合は、TVU MediaHubを使うことによって簡単に信号を全く違うフォーマットで各デスティネーションに同時送信が可能になる。

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