VoltAero社、Cassio 330型機に搭載する電気ハイブリッド・パワートレインの認証試験を開始。川崎重工のNinjaエンジンが組み込まれる

地上テストベンチに設置されたこのパワートレインは、Cassio 330の量産に必要な主要要素を統合している。このパワートレインにはサフランのENGINeUS 100スマート電気モーターと、カワサキを代表するモーターサイクルNinjaに由来する4気筒高性能サーマルエンジンが組み込まれている。

Cassio 330のパワートレインは、電気モーターENGINeUS 100が180キロワット、カワサキのサーマルエンジンが150キロワットの合計330キロワットの電気ハイブリッドパワーを発揮する。

VoltAeroのCEO兼最高技術責任者(CTO)であるジャン・ボッティ氏は、次のようにコメントしている。

ボッティ氏:Cassio 330の本格的なパワートレイン認証試験は、当社独自のパワートレインと空力および運航効率を最適化した機体を組み合わせ、新世代の電気ハイブリッド航空機ファミリーを製造するというVoltAeroのコミットメントにおける、新たな重要な一歩となります。

Cassio 330のパワートレインは、AKIRA Technologies社のフランス・バイヨンヌの施設で、地上でのテストベンチ走行が行われている。

https://www.drone.jp/news/2023062318324868573.html

ボッティ氏:Cassio 330のパワートレインに関するVoltAeroの全体的なアーキテクチャーは、同社のCassio Sテストベッド機による広範な飛行試験ですでに検証済みであり、定格出力600キロワットのパワートレイン・バージョンを搭載していています。

Cassio Sは2020年10月以来230回以上の飛行を行い、合計飛行時間は170時間を超え、15,000kmを飛行し、40以上の空港を訪問した。

CassioのVoltAeroパラレル電気ハイブリッド推進コンセプトはユニークで、機体後部の胴体搭載型推進ユニットの電気モーターを使用し、タクシー、離陸、プライマリーフライト(飛行距離が150km未満の場合)、着陸の間はすべて電気で駆動する。

内燃機関をパワートレインに組み込んだハイブリッド機能は、航続距離延長装置として機能し、飛行中にバッテリーを充電する。さらに、このハイブリッド要素は、電気推進力に問題が発生した場合のバックアップとして機能し、真のフェイルセーフ機能を保証するとしている。

VoltAero社のパラレル電気ハイブリッド推進システムを同社の専用設計の機体に統合することで、Cassioは現在の競合機と比較して桁違いの高性能を実現し、運用コストを大幅に削減する。Cassioの機体デザインは、洗練された胴体、前方の固定カナード、高い水平尾翼を支えるツインブームを備えた後方主翼を基本としている。

VoltAeroの最初の量産機バージョンであるCassio 330で、同社は2025年後半の認証取得を目指しているという。続いて、電気ハイブリッド推進力480キロワットの6人乗り「Cassio 480」、電気ハイブリッド推進力600キロワットの10人乗り「Cassio 600」が発表される。

Cassio航空機ファミリーは、地域商業オペレーター、エアタクシー/チャーター会社、個人所有者、また貨物、郵便配達、医療搬送(Medevac)用途のユーティリティ・カテゴリー・サービスなどの用途に向けた、高い能力と信頼性を備えた製品ラインとなるとしている。

VoltAeroの本社と技術事務所は現在、フランスのメディにある。Cassio 航空機の最終組立ラインを組み込んだ新しい専用施設は、フランスのロシュフォールに建設中で、今年後半に完成する予定だという。

▶︎VoltAero

© 株式会社プロニュース