中国の大学、新型ポリエステルRO膜開発 江蘇省南京市

中国の大学、新型ポリエステルRO膜開発 江蘇省南京市

江蘇省南京市で新型ポリエステルRO膜を研究する南京理工大学環境・生物工程学院の張軒教授(右)。(4月17日撮影、南京=新華社配信/張俊)

 【新華社南京5月1日】中国江蘇省の南京理工大学はこのほど、同大環境・生物工程学院の張軒(ちょう・けん)教授のチームが新型ポリエステル逆浸透(RO)膜を開発、主流の商用ポリアミドRO膜が内在する多くの欠陥を克服し、次世代海水淡水化技術に新たな構想を提供したと明らかにした。関連の成果は4月19日付けの国際学術誌「サイエンス」に掲載された。

 RO膜は海水淡水化設備の鍵となる装置で、現在の商用RO膜はポリアミド材料が主流となっている。張氏は、ポリアミド材料のろ過性能はすでに十分高いが、工業的な応用には課題が残っていると指摘。耐塩素性を例に、海水は前処理段階で塩素消毒が必要となるが、塩素を含んだ消毒剤はポリアミド膜の化学構造に不可逆的な損傷を与え、分解してしまうことさえあるため、海水を塩素消毒した後は脱塩素処理を行わなければならず、その後ようやくROろ過段階に入ることができると説明した。

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実験中の論文筆頭著者、南京理工大学の姚宇健(よう・うけん)博士。(4月15日撮影、南京=新華社配信/陳鑫栄)

 張氏は「最初はポリアミド材料の改良を試みたが、研究の結果、ポリアミドが内在する欠陥により活性塩素に耐えられないことが判明し、白紙に戻して最初からやり直す必要があった」と振り返り、チームは最終的に狙いをポリエステル材料に定め、一連の技術革新を進め、新型ポリエステルRO膜を開発したと紹介した。

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執務中の南京理工大学環境・生物工程学院の張軒教授。(南京=新華社配信/張俊)

 実験結果によると、新型ポリエステル膜は、耐塩素性などの指標において商用ポリアミド膜より優れており、うち第1段ROホウ素除去率は93%近い。新型ポリエステル膜は、商用ポリアミド膜の生産技術を踏襲しているため、大量生産への移行が可能で、関連技術は2件の国内発明特許を取得した。(記者/陳席元)

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