“写真を誰かに見せたかったから” 大学生42人に調査して分かった、カメラ・写真との関わり方

By 中丸ひなこ

2024年2月に開催されたCP+。会場には大学生写真サークル21団体が個性豊かな作品を発表する「わたしの自由区」ブースが出展し、会場を盛り上げました。

>>「わたしの自由区」の様子はこちら

イベント期間中、CAPA CAMERA WEBでは出展した写真サークルに所属する大学生にアンケートを実施。42人から回答をいただき、機材やSNSの活用などに関する取り組み方や考え方を調査しました。

大学生が使っている機材は?

アンケートによると、写真サークルに所属しているということもありほぼ全員が自分のカメラを所有。機種はニコンやキヤノンが多く一眼レフを使っている学生もたくさんいました。ミラーレスカメラでは「Z fc」や「EOS R6 Mark II」など、最新機種もありました。フィルムカメラと答えてくれた学生も多く、フィルム人気は依然として続いているようです。また、80%以上が交換レンズを所有していました。

撮影するジャンル・撮ってみたい被写体は?

よく撮影する写真のジャンルはスナップが最も多く、その次に風景が続きます。学校生活の合間や日常的に撮影できるジャンルが多く回答されました。

撮影してみたいフォトスポットを聞いたところ世界遺産やウユニ塩湖、屋久島、星空など自然あふれるスポットから、工場夜景や九州新幹線など、幅広いジャンルの回答がありました。

SNSで作品を発表するのは当たり前!?

「SNSで写真を発表していますか?」という質問に対して、8割以上の学生がSNSを積極的に利用し、自身の作品を広く発表していることがわかりました。SNSは写真を簡単にシェアし、多くの人からフィードバッグを得る便利な手段として活用されています。今回、2名の学生に追加でインタビューを行い、SNSとの関わり方について伺いました。

カメラで撮った写真を誰かに見せたかったから

中学3年生から写真を始めた室伏稜さん。高校1年生のときにInstagramのアカウントを作りました。

——写真を投稿するときに意識していることを教えてください
自分らしさ、自分だけの世界観を伝えたい! と思えるものだけを投稿するようにしています。
人に見られるからには厳選しよう! というのと、過去の写真を振り返ったときに、自分の成長と感性の変化を可視化出来るようにしているからです。撮影当時の感じ方と今の感じ方の違いを時々振り返るようにしています。最近は投稿するときに何かしらコメントを入れるようにもしています。感じたことを文章としてアウトプットする練習になるのでこれからも続けていこうと思います。

——カメラはどんな時に持ち歩いていますか?
これまでは遠出するときや友達と遊ときにしか持って行きませんでしたが、日常のシャッターチャンスを極力逃さないようにコンデジを買ってからは、毎日持ち運ぶようにしています。スマホでもRAW撮影が出来るので重宝しています。

室伏さんの作品

——フィルムカメラの作品も拝見しましたが、デジタルとフィルムではどちらの方がメインですか?
デジタルカメラです。フィルムカメラで撮影設定や構図をゆっくり考えたいんですが、フィルム代や現像代でかかるお金が高く(フィルム代の高騰も辛いです…)余裕のあるときだけフィルムで撮るようにしています。普段はフィルムにしか出せない色味や雰囲気を、LightroomやPhotoshopのソフトで再現出来るようデジタルで撮影しています。

——Instagramをやっていて良かったエピソードはありますか?
Instagramで仲良くなった大学の友達が、カメラマンの方に私を紹介してくれて繋がりが増えたことです。その方が紹介してくれた野生動物カメラマンの講演会に参加したことがきっかけで2024年の3月に北海道へ写真のインターンに行くことができました。Instagramで写真を投稿し続けたからこその出会いやコミュニティの広がりがあって、続けていて良かったと感じました。

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展示を経験したからこそたどり着いた方法

中学生のときから写真部の田口睦大さん。アカウントを開設した理由は、自分の撮った写真を学校の知人だけでなくたくさんの人に見てもらいたいと思ったからでした。

——写真を投稿するときに意識していることを教えてください
主に2つあって、まず1つ目は個人が特定可能な写真を避けることです。肖像権の扱いが難しい時代ですので、どうしても人の写った写真は載せにくいと思います。最近は人と街をテーマにスナップを撮っているので、載せたいけれど載せられない、という写真が多いです。

2つ目は色です。紙に印刷した写真とSNSの写真で大きく差があるのは色だと思っています。紙の写真は1点1点をじっくり見ることが多いため、あまりにビビッドだと煩いという印象を持たれてしまいます。一方で、SNSに載せる写真というのは小さな画面で消費されてしまうものなので、ある程度目を引く要素がなければ流れていってしまいます。そのためInstagramに載せる写真はやや濃い色にしています。

——写真作品に白枠をつけている理由を教えてください
プロフィール画面でサムネイル表示されたときに一目で写真全体が見えるようにするためです。サムネイルではどの写真も正方形にトリミングされてしまうため、本来見せたい写真の意図とズレてしまうからです。

枠は額縁をイメージしているのですが、これは写真部で展示の経験したからこそたどり着いた手法かなと思います。それ以前と以降を比べると統一感が生まれていると思います。今後は白に限らず、写真に合わせて額縁を選ぶように、枠も試行錯誤していけたらと思っています。

田口さんの作品

——Instagramをやっていて良かったエピソードはありますか?
人との交流という面でやっていて良かったなと思います。写真をやってる人とやっていない人で異なるのですが、まず写真をやってない人と連絡先としてInstagramを交換したときに写真が趣味なことがすぐに伝わって話が広がるのが良いところです。写真をやってる人と交換する時は、一種のポートフォリオとして自分の作風を見てもらえるのが良いところだなと思います。

私は写真展の際にInstagramのQRをキャプションの隣に掲示していますが、それは展示を見てフォローしてくださった方々に過去の作品や今後の作品を見ていただけるようにと期待しての取り組みです。ありがたいことに、ここ半年で多くの方々にフォローしていただいて人脈が広がりました。

——周りの人はどのようにSNSを活用していますか?
周りの学生のSNS利用率は90%くらいだと感じています。大学に入ってから特に顕著に感じていることとして、初対面の人と連絡先を交換することになった時にLINEではなくInstagramの交換を求めてくる人が多い印象です。

田口さんのアカウントはこちら!

誰かと一緒に楽しむ写真

サークルに加入する理由として最も多く挙げられたのは、「写真が好きだから」や「写真を一緒に楽しむ仲間が欲しい」といった、誰かと写真の楽しさを共有したいという気持ちでした。アンケート回答者の半数以上が大学入学前から(4年以上)の写真歴があり、機材の扱いや写真の知識がありました。

また、現在の大学生は、学内のみならずSNSを通じて知り合った写真愛好家と一緒に写真の創造性や表現力を伸ばしていました。SNSを活用して作品を発信することで、自身の写真スキルを磨きながら、独自の視点を築いているようにアンケート結果やインタビューから感じました。

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