医療的ケア児の保護者に働く場を 仙台・泉区にカフェオープン

人工呼吸器の使用など医療的なケアが必要な子どもを持つ親が働くカフェが、仙台市泉区にオープンしました。子どもの世話で社会とのつながりが少なくなる親の孤立を防ぐ取り組みです。

30日にオープンしたカフェで働いているのは、医療的なケアが必要な子どもを持つ家族です。仙台市の社会福祉法人が、孤立しがちな親が社会参加できる機会を作ろうと開設しました。

社会福祉法人あいの実久保潤一郎専務理事「お母さんたちが働きたいけれども働けないという状況をずっと聞いてきました。何とか働く場所を作れないかということで、このカフェの企画につながりました」

カフェで働く日下綾さん(42)の次女、花さんは生後3カ月で発症した低酸素性脳症により手足にまひが残りました。日常的に胃ろうやたんの吸引などが必要です。

日下さんは週に1日、花さんが学校と施設に通う間にカフェで働くことになりました。

日下綾さん「血中の酸素濃度が上がらない時があって、やっぱそういう時に目を離せないというか、すぐ体調崩すしいつ崩すか分からないので、こういう子がいて働くのは職場の理解がすごくないとなかなか難しいなと思います」

宮城県で医療的ケアを必要とする人は634人で、このうち19歳以下の医療的ケア児は333人と半数以上を占めます

国の調査では、家族の4割が「5分以上目を離せない」と回答し、5割が「社会から孤立していると感じる」と答えました。

社会福祉法人あいの実久保潤一郎専務理事「とても狭い世界で生きざるを得なくなっているので、地域の人たちがやって来る所で働いて直に面と向かって接客できるっていうのは良い機会になるかと思います」

カフェでは、訪れた客がコーヒーの焙煎やホットサンド作りを体験できます。

「童心に帰ったみたいで楽しかったです。以外と上手にできたのですごいうれしい」

花さんのケアで家で過ごすことが多かった日下さんは、このカフェを社会とつながれる場所と言います。

日下綾さん「家族だけで過ごすのとは全く違うので、社会が広がるというか頭を使うというか、社会に溶け込んできているなっていう希望があります」

日下さんたちが働くカフェ・ドゥ・チルミルは、月曜日以外の午前10時半から午後5時半まで営業しています。

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