「辞めジャニバブル」の光と影 Number_iや山下智久らは需要高騰、手越祐也は苦戦続く

俳優で歌手の山下智久が、5月7日よりオンエアされる日本マクドナルドの新CM「マックカフェ『しあわせすぎるっ!もも』篇」に出演すると発表された。同社はNumber_iや赤西仁ら「旧ジャニーズ退所者」を相次いでCMに起用しており、他社のCMやドラマなどでも退所者へのオファーが急増するなど、芸能界は「辞めジャニバブル」となっているようだ。

山下は新CMで、以前から「マックカフェ」のCMキャラクターを務めている広瀬すずと初共演。かつて「マックカフェ」のCMでは広瀬と木村拓哉が共演していたが、ジャニーズ性加害問題の影響で木村は事実上の降板になった。その木村のポジションに「辞めジャニ」の山下が起用されるのは何とも象徴的だ。

マクドナルドは性加害問題を受けて「旧ジャニーズの所属タレントとは現行CMの契約を更新せず、新たな契約も結ばない」と発表したが、退所者の起用は問題ないという姿勢だ。実際、岡田准一は木村と同じく出演CMが一時打ち切られたが、昨年11月にSMILE-UP.(旧ジャニーズ事務所)を退所したことで、今年から再び同社のCMに出演するようになった。

さらに、4月初めより堺雅人との共演で赤西が「サムライマック」の新CMに登場し、4月23日からは元King & Princeの平野紫耀、神宮寺勇太、岸優太からなるNumber_iが「チキンマックナゲット」の新CMに出演。それに続いて山下の出演が決定したことで、露骨ともいえるほどの「辞めジャニ」起用路線が明確化している。

他社のCMでも、旧ジャニーズ勢の契約がどんどん打ち切られていく一方、辞めジャニ勢の起用が増加。広告業界では先述のNumber_iをはじめとするTOBE勢が存在感を強めており、他に「新しい地図」の香取慎吾、草なぎ剛、稲垣吾郎なども広告需要が上昇傾向にある。

ドラマ界においても、放送中のフジテレビ系『ブルーモーメント』で山下が主演を飾り、同局系『Re:リベンジ-欲望の果てに-』で錦戸亮が主演に次ぐ二番手を張るなど、辞めジャニの起用が目立ってきた。スポンサーが旧ジャニーズ勢を敬遠した結果、CMやドラマでの需要が一気に辞めジャニ勢に回ってきた格好ともいえる。

まさに「辞めジャニバブル」といえる状況なのだが、これにまったく乗れていないのが旧ジャニーズ時代に山下と同じNEWSに所属していた手越祐也だ。

手越は2020年6月に旧ジャニーズ事務所を退所し、直後にYouTubeで生配信した緊急記者会見は同時接続数が当時の日本記録となる132万人を記録。その勢いのまま当初はYouTubeに力を入れ、数百万回再生の動画を連発していたが、ここ数年は再生数が急落している。最近は人気キャラとコラボしたテレビ埼玉の深夜番組『ちぃたん☆手越祐也のホンキでいきます(仮)』の動画を連投しているが、再生数は1万~3万回ほどという惨状だ。

「手越 GAME HOUSE」というゲーム専門チャンネルも運営しているが、再生数うんぬん以前にチャンネル登録者数が2万人ほどしかおらず、かつての絶頂期からは考えられない状況となっている。

また、先述したように他の辞めジャニたちは地上波の全国ネットやテレビCMなどで活躍しているが、手越は地方局やCS放送の仕事が中心。今春から始まった新番組も『手越祐也のGIRLS KEIRIN革命☆』というCSの番組だった。CD売上も低下傾向にあり、タレントとしてもアーティストとしても正念場が続いている。

手越といえば、昨年3月にネットメディアのインタビューで「お世話になったテレビ業界が今つらい思いをしているのであれば助けたい」「恩返ししたいので『イッテQ』ならギャラ0円で出ます」などと発言。テレビ業界の窮地を救いたいという「上から目線」がさまざまな意味で話題になった。

しかし、実際に全国ネットのテレビに呼ばれたのは先述したように山下や錦戸、Number_i、新しい地図といった面々で、地方局以外は手越に声をかけていない様子。かつてレギュラー出演していた『世界の果てまでイッテQ!』(日本テレビ系)に復帰できそうな気配はなく、山下らのようにマクドナルドからCM出演をオファーされる可能性もなさそうで、辞めジャニバブルの恩恵を受けられていない状況だ。

底なしに明るいポジティブさとバラエティでの身体の張り方は視聴者からの支持が高かっただけに、このまま低迷を続けるのはもったいないようにも思える。今後、他の辞めジャニ勢と同じように手越にも追い風が吹くことはあるのだろうか。

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