「相撲やってきてよかった」 尊富士、出身地の青森・五所川原市でパレード、5万5千人が歓喜

地元での凱旋パレードで、集まった大勢の市民にオープンカーから手を振る尊富士(右)=1日午後、五所川原市金木町の斜陽館前
観客の声援を浴びながら五所川原市金木総合支所を出発する尊富士(後席右)と伊勢ケ浜親方(同左)=1日午後1時52分

 大相撲春場所で新入幕力士として110年ぶり、史上最速となる初土俵から10場所目で優勝した青森県五所川原市出身の尊富士(25)=本名・石岡弥輝也(みきや)、伊勢ケ浜部屋=の凱旋(がいせん)パレードが1日、同市で行われた。金木町地区と市中心部の2カ所の沿道には計約5万5千人(同市発表)が詰めかけ、偉業を成し遂げた地元のヒーローをたたえた。

 午後1時半、金木町地区の市金木総合支所で出発前セレモニーが行われ、尊富士は地元住民らを前に「今ここに立っていられるのは、皆さんの声援があったからこそ」と優勝報告した。

 その後、師匠の伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士、つがる市出身)とオープンカーに乗り込み、号砲を合図に地区内の約1キロのコースをゆっくりと巡り、沿道からの歓声と拍手に応えた。

 同3時半からは市中心部でもパレードが行われた。「立佞武多(たちねぷた)の館」前のセレモニーでは、化粧まわしのデザインにもなった高さ23メートルの立佞武多「素戔嗚尊(すさのおのみこと)」が館から出され、オープンカーに乗った尊富士との“共演”が実現した。立佞武多のはやしと「ヤッテマレ」のかけ声に合わせて出発し、沿道の観客に向かって手を振りながら市役所本庁舎まで約900メートルのコースを進んだ。

 パレード後の記者会見で、尊富士は「自分がやってきた相撲に対し、県民の皆さんが一番喜んでくれた。相撲をやってきてよかった」と語った。この日一日を振り返り「自分の記憶に残るような最高のパレードだった。感謝してもし切れない」とし、「(優勝による)出世に混乱する場面もあったけれども、これからも頑張ろうと思った。いろんな場面でみんなを驚かせたい」と語った。

 同日夜には、市内で後援会主催の優勝祝賀会が開かれた。

 3月の大相撲春場所で尊富士は13勝2敗の成績を残し、1914(大正3)年夏場所の両國以来となる新入幕優勝を決めた。4月30日に発表された夏場所(5月12日初日・両国国技館)の番付では、幕尻の東前頭17枚目から11枚上げて同6枚目となった。

© 株式会社東奥日報社