能登を観光割で支援 県が方針 知事「年内にも」

  ●復旧状況踏まえ調整

 石川県は、能登半島エリアに特化した旅行割引事業の実施に向け、観光庁との調整を進める。馳浩知事は1日、北國新聞社の取材に「被災地の受け入れ態勢が整えば、年内にも実施したい」と述べた。富山、福井、新潟を含む4県で展開した観光需要の喚起策「北陸応援割」に続き、能登での観光割として客足回復を促し、復興を後押しする。

 石川県では「北陸応援割」の第2弾が大型連休明けの7日から7月31日までを期間として実施される。ただ、参加する宿泊施設の大半は金沢市以南にある。

 岸田文雄首相は1月、北陸応援割より手厚い旅行需要喚起策を能登地区で検討する考えを表明。これを受け、馳知事は4月17日、被災地の復興状況を踏まえて、策を講じるよう求める要望書を岸田首相に提出していた。

 北陸応援割は宿泊施設を対象に、代金を最大半額とした。馳知事は、能登の観光割引事業について「飲食を含めたクーポンもお願いしたい」と述べ、幅広い業種の支援策としたい考えだ。

 被災程度が大きいエリアに特化した支援策を打ち出した例は過去にもあった。2016年の熊本地震では、九州全域を対象とした割引事業を実施後、熊本県・阿蘇地域限定で割引を適用した。

 ただ、能登の割引事業の開始は、被害復旧が前提となる。県によると、一部の宿泊施設が営業を再開しているが、復旧や支援に当たる人々の拠点となっているケースが多い。七尾市和倉温泉では、宿泊施設が立ち並ぶ海沿いで被害が大きく、和倉温泉旅館協同組合は一般客の本格受け入れには時間がかかると見込む。県は復旧を急ぎながら、観光振興策にも力を入れる方針だ。

© 株式会社北國新聞社