20代技術者、離職理由は「転勤」が最多/日建連調査、制度運用改善を要望へ

日本建設業連合会(日建連、宮本洋一会長)は、若手技術者の離職防止などを見据え、技術者制度の改善に向けた取り組みを活発化させる。企業評価部会18社を対象に行った調査の結果、2022年の20代の技術系社員の離職率は17年と比べ2・3ポイント上昇し6・7%。離職理由は「転勤・異動」が半数を占めた。日建連は公共工事で配置予定技術者の運用の在り方が転勤の遠因になっていると分析。今後、公共発注者に技術者制度の運用緩和・改善などを訴えていく。=2面に関連記事
調査は23年10、11月に実施。技術者の離職率を17年と22年で比較すると、30代や40代は低下または横ばいとなったのに対し、20代は4・4%から6・7%に上昇した。20代の離職理由(複数回答可)を見ると、「転勤・異動」(50%)が最も多く、次いで「自身のキャリアアップ」「家庭環境」(各39%)、「長時間労働」「人間関係」(各28%)と続いた。
特に土木工事では入札時、配置予定技術者の評価で総合評価の獲得点が左右されることから、監理技術者が固定化しやすい傾向がある。そのため若手が実績を積みにくく、転勤する技術者が偏る一因となっている。
こうした現状を踏まえ、日建連は若手が監理技術者として実績を積める二つの改善案を、国土交通省など発注者に提案していく考えだ。一つはベテランが監理技術者や現場代理人として現場に従事し、若手技術者を指導しつつ、一定期間が経過したら他現場などに異動。その後、若手に監理技術者を交代することで、より柔軟な対応につなげる。
もう一つは、ベテラン技術者が現場ではなく支店や事務所などに勤務。ICTなどによる遠隔管理を活用し、専任補助者として複数現場の若手監理技術者を遠隔で指導する。
両案とも若手技術者に監理技術者としての実績を付与する。現場勤務要件を緩和することで、技術者の柔軟な働き方につなげる。
現行の専任補助者制度は、専任補助者となるベテラン技術者を現場に置くことで、若手を監理技術者に配置できる。ベテランが担当技術者として現場に勤務し続け、若手を指導する仕組みとなっている。

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