廃棄の花に再び命 高岡・戸出チューリップ、星野リゾート飾る

戸出のチューリップの花が使われているフラワーカーペット=リゾナーレ八ケ岳

 富山県の高岡市チューリップ球根組合(吉江正雄組合長)が栽培するチューリップの花が、星野リゾート(長野県軽井沢町)が運営する山梨県のリゾートホテルで装飾として使われ、宿泊者らに好評だ。チューリップは球根用に栽培しているため、花の部分は処分していた。フラワーロス(花の廃棄)の削減につながるほか、県産花のPRに役立っている。

 高岡市チューリップ球根組合は戸出地区の5軒の農家でつくり、球根用のチューリップを約4ヘクタールで栽培する。球根栽培では、球根の肥大を促し、病害虫からの被害を防ぐために花を摘み取る必要がある。摘んだ花は使い道がなく捨てていた。

 同組合は花を有効活用しようと、フラワーロス削減に力を入れるジャパン・フラワー・コーポレーション(射水市)などを通じて、装飾に生花を使う星野リゾートへの提供を始めた。2022年から毎年5万本分を送り、同社のリゾートホテル「リゾナーレ八ケ岳」(山梨県北杜市)の春のイベントで、花びらをじゅうたんのように敷き詰めた「フラワーカーペット」として使われている。

 今年は赤や白、紫など7色を提供した。フラワーカーペットは長さ160メートル、幅3メートル。新潟県の産地から寄せられた花も合わせた計40万本分を入れ替えながら飾る。展示は今月5日までで、宿泊客だけでなく誰でも自由に見ることができるという。星野リゾートの広報担当者は「富山県内から訪れた人からも『地元の花が形を変えて活用されていてうれしい』という声をいただいている」と話す。

 同組合は星野リゾートのほかにも県内外の企業などに花を納品し、25年の大阪・関西万博の関連イベントでも活用された。吉江組合長は「捨てられるはずの花に再び命を吹き込んでもらえてうれしい。県産チューリップをさまざまな形でPRしたい」と話している。

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