映像化9回、舞台化も4度、初回テレビ放送の最終回視聴率42.7!
テレビ朝日のドラマ部門1位記録を現在も保持。
「氷点」という小説は、なぜこれほどまでに日本人に刺さったのか。
物語の重要な舞台にたたずむ「三浦綾子記念文学館」
ファンからの寄付と旭川市民の熱意によって建設されたというのだからすごい。
氷点通り
旭川駅から車で5分。
文学館へ向かう道路は「氷点通り」という名で市民から愛されている。
美しい見本林
日差しのあたたかな日であったが、外国樹種見本林に足を踏み入れた途端さっと空気が変わった。
木立の中に素敵な洋館が見える。
入館料を払い、物販を楽しみつつ展示室へ。
身体と心を襲う痛みの記録、そして雑貨店の主婦からベストセラー作家へ
展示を見始めておどろくのが、先生の体の弱さと痛みとの闘いだ。
しかし幼いころから聡明で、何かを書きたいという魂が垣間見える。
結婚し家業を営みつつ大型の懸賞小説に応募し、見事グランプリを獲得。
その「氷点」は、瞬く間にベストセラーとなり時の人へ。
その後も重厚な作品を書き上げるが、常に病に苦しみ痛みに耐える日々。
ついに手の痛みで書き進めるのが困難になる。
しかし夫・三浦光世氏の献身により口述筆記の形でたくさんの作品が世に出ることとなった。
分館には書斎とカフェ
記念館には分館があり、執筆されていた当時の書斎がそっくり移設・復元されている。
まるでご夫妻の息づかいが聞こえてくるようなたたずまいに心を打たれる。
氷点ラウンジ
充実の展示を存分に楽しんだら、お楽しみのカフェタイム!
分館のカフェ「氷点ラウンジ」では美味しいスイーツやコーヒー、オリジナルビールまで楽しむことができる。
チョコチップのパウンドケーキにも心が動かされたが、旭川の銘店一久大福堂のお餅をつかったお汁粉をチョイス。
みっちりとしたお餅に甘いあずき、箸休めにしょっぱい塩昆布、〆には渋い日本茶という素晴らしいセットを美しい木立の景色とともに味わう楽しさ。
でもこの林、そしてその向こうの川で起こった作中の様々な人間模様が胸に渦を巻く。
美しくも恐ろしい、そんな人間描写に人は魅了されるのだろう。
幼くして死に別れた妹、戦争と軍国主義、クリスチャンとしての祈り。
先生をめぐるエピソードの一つ一つが濃い。
文学館と見本林は北海道遺産にも登録されている。
四季折々に違う景色を見せてくれる木立、
未見の方はぜひ訪れてみてほしい。
かなり作品がネタバレとなるので、読後あるいはドラマ視聴後だとより楽しめると思う。
おススメドラマは白黒の初回バージョンだが、何度リメイクされても新たな面白さがあるのがすごい。