広がる「通年軽装化」 県内で「クールビズ」始まる、本紙調べ・県と18市町が導入

プロ野球楽天やモンテディオ山形のシャツを着て業務に当たる職員=山形市役所

 県内で1日、省エネや節電を図るため軽装で業務に当たる「クールビズ」が始まった。クールビズは期間限定だが、通年でネクタイや上着なしの「コンフォートビズ」が各自治体で広がりを見せている。山形新聞が県と各市町村に取材したところ、試験段階も含め、県と18市町が導入していた。各自治体は暑さ対策に加えて効率よい勤務環境を狙い、導入を進めているようだ。

 気象庁は今夏も全国で猛暑日が増えると予想しており、環境省は今年から災害級の暑さに備えて「熱中症特別警戒アラート」の運用を開始した。暑さ対策が一層求められる中、コンフォートビズを既に導入した自治体は、2023年5月から取り入れた県のほか、鶴岡市や酒田市など17市町に上る。さらに小国町が試験導入中で、県内自治体の半数以上が取り組んでいる。

 鶴岡市は試行期間を経て同年4月に導入した。男性はノーネクタイのワイシャツ姿が多く、女性はジャケットを着ずにブラウスやカットソーでカーディガンを羽織るケースが多い。市は「市民からの反対意見もなく、順調に推移している」としている。

 新たにこの日導入した天童市はクールビズ開始に合わせた。市は「近年は異常気象が毎年のように発生している。職員一人一人が状況に応じて服装を選択できるようになり、働きやすさの向上にもつながると思う」と期待している。同年12月から通年の軽装化を始めた河北町は、式典などTPOに合わせてネクタイを締めるなどの対応をしており、「動きやすくなった。職員に親しみを感じるようになったという町民の声がある」と効果を強調した。

 導入予定は3市町で、今年11月の導入を見込む新庄市は「効率よく仕事ができるよう、各自が判断できる環境を整えたい」としている。検討中は11市町村で、米沢市は昨年時点では「現時点で導入しない」だったが「検討中」に変更した。周辺自治体の動向や導入事例などを聞くという。

 未定は2市町。山形市は他自治体の状況を見て是非を議論するとし「市民に不快感を与えないことが大前提。通年軽装を行うとしても一定のルールは必要」と慎重な姿勢を示した。

 一方「現時点で導入しない」とするのは村山市。理由について「社会的に浸透しているのか、市民から理解を得られるのかまだ不透明なため」としている。

地銀3行は自由化、民間も実施

 県内地銀3行は既に行員の服装を自由化している。自主性や多様性を尊重することで、働きがいやエンゲージメント(組織に貢献する意欲)を高める狙いだ。

 荘内銀行は2020年から、季節を問わずノーネクタイやカジュアルウエアを認めている。春や秋は1日の温度差が大きく、体感温度も個人によって違うため、上着を脱いだりセーターを着たりと、各行員が機動的に調整している。もはやクールビズ開始の声かけはしていないという。

 自治体の軽装化に後押しされ、取り組みを進める民間企業もある。山形環境エンジニアリング(寒河江市、遠藤正幸社長)は、昨年11月からノーネクタイの通年実施を始めた。上下水道や衛生管理など公共関連の事業が多く、自治体の動きに合わせた。社内では「楽で良い」という声が上がり、環境に配慮する企業イメージの発信にもつながっているという。

5~7月の県内、気温高い見込み

 気象庁によると、向こう3カ月(5~7月)の県内は暖かい空気に覆われやすいため平均気温は高い見込みだ。

 山形地方気象台によると、昨年は山形と大江町左沢で、5月の史上最高気温を観測。6月は酒田市浜中と鶴岡市鼠ケ関の月平均気温が最高になった。8月と9月は、22の観測地点全てで各月の平均気温が史上最高を観測し記録的な高温で推移した。

 今夏も暑さが予想され熱中症への警戒や体調管理に注意が必要となる。

クールビズスタイルで業務に当たる県職員=県庁

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