山下智久『ブルーモーメント』、鼻が赤い厳寒ロケ“水上恒司とのバディ”が好評もモヤる「原作改変」 公式も“別物”強調か

山下智久(C)ピンズバNEWS

5月1日、山下智久(39)主演の連続ドラマ『ブルーモーメント』(水曜夜10時~)の第2話が放送された。視聴率は世帯8.4%、個人4.8%だった(関東地区/ビデオリサーチ調べ)。

ドラマ『ブルーモーメント』は、山下演じる晴原柑九朗(はるはら・かんくろう/山下)ら、SDM(特別災害対策本部)が最前線で人命救助をする物語。原作は漫画家・小沢かな氏の作品で、気象庁気象研究所主任研究官の荒木健太郎氏が監修を務める漫画『BLUE MOMENT ブルーモーメント』(KADOKAWA)。

【以下、『ブルーモーメント』の第2話と原作漫画のネタバレを含みます】

第1・2話の大枠は雪山を舞台に、SDM(特別災害対策本部)が雪崩に巻き込まれた要救助者を助ける、という前後編の物語。

前回ラストは、SDM消防班チーフ・佐竹尚人(音尾琢真/48)が要救助者の男性・前田(久田悠貴)を助けようとして崖から転落し、二重遭難してしまう――というものだった。

「第2話は、消防班班員の園部優吾(水上恒司/24)が晴原と協力して佐竹と前田を救出するドラマが描かれました。極寒の雪山ということで山下さんらキャスト陣は鼻が赤くなっていて、ロケの過酷さが、映像のリアリティにつながっていましたね」(テレビ誌編集者)

園部は中学時代に佐竹に救助された過去があり、彼を何としても助けたかった。でも、地上からはアプローチできないし、吹雪でヘリも飛ばせない。彼以外にも要救助者はいる。諦めるしかないのか――という、手に汗握る展開だった。それを乗り越えるべく、園部が晴原と協力していく流れは王道の“バディ”感もあり、ドラマを大いに盛り上げた。

X(旧ツイッター)には、

《反発し合いながらもお互いの言葉を無視できない2人そしてそれが信頼に変わっていく様(略)この2人のバディ最高すぎた》
《柑九朗&優吾のバディ誕生か! これからの活躍が楽しみです》
《鼻もほっぺも真っ赤っかじゃん…。極寒の中で一生懸命頑張ってる恒司くんかっこよすぎるよ》

といった声が多く寄せられている。

だが一方で、

「ドラマとしては非常によくできていましたが、原作漫画とはかなり別物であるため、モヤモヤを抱えている視聴者も多いんですよね」(前出のテレビ誌編集者)

原作にもSDMは存在するが、ドラマ版のような“救助チームの奮闘記”という感じではない。SDMの隊員は佐竹を筆頭に、ほぼ全員がドラマオリジナルキャラクターである。

「特に第2話ラストで佐竹を救助することができた、という点に難色を示す声が目立ちます。雪山の話は原作漫画第2巻のエピソードで、大筋は同じですが、ラストが大きく違う。

“救助隊の1人が遭難者を助けようとしたが、崖から落ちて二重遭難してしまった”という展開は同じですが、晴原と園部は救助隊の青年・山本(ドラマ版の佐竹)を助けられないんです」(前同)

■原作では救助隊員が殉職する無常さも描いていた

悪天候で長時間ヘリを飛ばせなかったこと、ドラマ版と違い、山本(ドラマ版の佐竹)は遭難者の女性(ドラマ版の前田)と違う場所に落下していることから、晴原らは捜索を断念。短時間だけヘリを飛ばすことで遭難者は救えたが、山本を捜索する時間はなく、彼を救助することはできなかった――原作はドラマ版以上に、雪山の残酷さ、救助する側の葛藤、遺族の無念などを色濃く描く内容なのだ。

Xではその展開を知っているファンから、

《原作とだいぶ違うな綺麗事にしすぎ》
《また原作必要なくなっちゃったwこれだけ原作改変するならオリジナルでやれよ。生き死にすら変えちゃうんか》
《原作では助けられなかった命、助けられるのか…》

といった、不満を訴える声も寄せられている。

「原作漫画の方がシビアな現実を描いている感がありますが、地上波テレビで、しかもドラマの序盤に、いきなり“救えなかった”という重い結末――原作通りだと地上波ドラマとしては残酷すぎる、となったのかもしれません。そこで若手隊員が恩師である先輩の命を救う、成長物語のような感じに再構成されたのかもしれませんね。

賛否両論の原作改変ですが、Xでは漫画公式アカウントと原作者がドラマと原作は違う、というのを強調しているように感じられるところもあります」(前同)

原作漫画のXアカウントは第2話放送後、ドラマ第1・2話の原作エピソードを添えて《ドラマとはまた違った、こちらも是非よろしくお願いします》(5月1日)とポスト。

原作者の小沢氏はそれを受けて、《雪山編打ち合わせの時のホワイトボード》の画像4枚をポストしている。こちらでは、ドラマ版と大きく異なる人物設定などが確認できる。要救助者の性別や職業が異なっているのだ。

「Xを見ても分かりますが、『ブルーモーメント』の原作サイドとドラマ制作サイドの関係は決して悪くなく、良好な感じです。原作漫画とドラマは内容は違うが、どちらも楽しんでほしいということではないでしょうか。

そして『ブルーモーメント』は、山下さんの代表作『コード・ブルー‐ドクターヘリ緊急救命‐』シリーズ(フジテレビ系/08年7月~)や、鈴木亮平さん(41)主演の『TOKYO MER~走る緊急救命室~』(TBS系/21年7月期)に似た雰囲気がありますが、2作品とも人命救助に関するハッピーエンドでは終わらないシナリオもあった。『ブルーモーメント』はまだ序章。今後はそういった厳しいドラマも描かれるのかもしれませんね」(前同)

原作とは異なるが、レスキューを描くドラマとして多くの視聴者から好評を集める『ブルーモーメント』。今後のストーリー展開に注目が集まる。

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