ゴールデンウィークにイッキ見推奨 『ペントハウス』など没入度間違いなしの韓国ドラマ3選

GWも後半に入ったが、「特に予定がない」という方に、何もかも忘れてドラマの世界に埋没できる韓国ドラマ3作をピックアップ。思わずイッキ見しちゃうこと間違いなしだ!

『ペントハウス』

韓国ドラマには、マクチャンドラマというジャンルがある。日常とはかけ離れた出来事が次々と起こるドロ沼愛憎劇のことだ。『ペントハウス』シリーズは、そんなマクチャンドラマをよりスタイリッシュにした一作である。

韓国で瞬間最高視聴率30%を超える大ヒットを記録した本作は、脚本をマクチャンドラマの大家と呼ばれるキム・スノクが手掛けただけあって驚愕の展開が続く。超高層マンション“ヘラパレス”で、華麗な生活を送る富裕層ファミリーたち。だが、ある1人の少女の転落死によって、彼らの醜悪で欲深い姿が露わになっていくのだ。

真実が明らかになる寸前に物語が反転するなど展開がスピーディーで、とにかく一瞬たりとも目が離せない。取っ組み合い、ビンタ、拉致は日常茶飯事。100階からの転落事故や豪快な階段落ちなどもあり、死んだと思ったキャラが突然生きて舞い戻ってくることも……。

こう紹介すると、トンデモドラマのようだが、確かにそういう側面はあるものの、その一点張りではないところが本作のすごいところ。親子の情や淡い初恋にホロリとさせられたり、貧富の差、不動産投資、不正入試、イジメ、海外養子といった韓国の社会問題を考えさせられたりする部分もあり、一度見始めたら止められなくなる仕掛けがたっぷりなのだ。衣装やインテリア、オペラのシーンもゴージャスで、目が釘付けになる。

実力派俳優陣の熱演も大きな見どころだ。メインキャストの1人のキム・ソヨンは、「2021 SBS演技大賞」で大賞を受賞している。あまりにエキセントリックで強烈な演技に思わず失笑してしまう場面もあるが、そういうところにツッコミを入れながら楽しむのもまたマクチャンドラマの流儀だ。

シーズン3まであるため、なかなか時間があるときでないとイッキ見できない本作。シーズン1だけでも十分楽しめるが、シーズン3のラストにも予想を上回る感動が待ち受けているので、歩みを止めてしまうのはもったいない。このGW、『ペントハウス』の世界にどっぷり染まってみるのはいかがだろうか。

『もうすぐ死にます』

なかなか物騒なタイトルだが、2024年1月にPART2の配信を終えた、今年必ず抑えておきたい一作である。映画レビューサイトIMDbの評価でも、8.6(8.5以上は超名作といわれる)と高得点を獲得している。

原作は、人気ウェブトゥーン。自ら死を選んだ主人公イジェが、神も人間も超越した存在“死”に審判され、死を軽んじた罰として12人に転生し12回の死の苦しみを味わうことになるという、ダークファンタジーである。イジェを演じるのは『空から降る一億の星』などのソ・イングク、“死”を演じるのは『パラサイト 半地下の家族』のパク・ソダム。

本作は、メインキャスト2人以外にも主演級俳優をずらりとそろえているのが大きな見どころだ。イジェが転生する12人を、『還魂』のイ・ジェウク、『ザ・グローリー ~輝かしき復讐~』のイ・ドヒョン、SUPER JUNIORのシウォン、『サイコだけど大丈夫』のオ・ジョンセ、『結婚作詞 離婚作曲』のソンフンなどが演じる。

キャスティングには11カ月も要したそうで、最もオファーの承諾に時間がかかったのはオ・ジョンセだとか(※1)。本作を観れば、監督がそこまでこだわった理由が理解できるはず。イジェの魂が入る前、イジェの魂が入ったあとが別人のようで、オ・ジョンセの演技の真骨頂が見られる。

単なる12人の転生物語に留まらない構成も素晴らしい。イジェの生前の人生に影響を与えていた恋人や母親が所々に登場するなど、物語は絶妙につながっていく。劇中の“死”によれば、人間が一度しか死なないのは神が与えた特権なのだという。転生した人物たちそれぞれの人生、あっけないほど突然訪れる死の瞬間を何度も経験したイジェが、最後に掴んだものとは?

生と死という壮大なテーマが横たわる本作。飛行機の大爆発シーンあり、激しいカーチェイスあり、残虐なサイコパス対決ありで、エンタメとしても見応えたっぷりだが、想像を絶する展開に心を掴まれ、最終回は思いがけなく号泣してしまった。全8話なのでさくっと観られるが、観終わったあとは大きな充実感を得られるだろう。

『バッド・アンド・クレイジー』
韓国ドラマ「バッド・アンド・クレイジー」予告編
主人公スヨルは、出世のためなら悪事にも手を染める世渡り上手な刑事。だが、突然現れたKという謎のヘルメット男に邪魔されて、ペースが狂わされていく。奇想天外なアクションが面白い痛快なバディもの……となっていくのだが、初めからどこか不思議なところがあり目が離せない。

スヨルを演じるのは、最近では『殺し屋たちの店』で話題をさらったイ・ドンウク。言わずと知れた人気イケメン俳優の1人だが、情けない表情も絶品だ。ちょっと残念なところもあるスヨル役もハマり役で見ものだが、このGWに本作をぜひ観ておきたいワケは、K役をウィ・ハジュンが演じているからが大きい。

ウィ・ハジュンは、5月11日からは主演ドラマ『卒業』、2024年下半期には出演作『イカゲーム2』の配信が待ち構えている。本作では、同2作とはまた違う魅力を披露している。特に注目は、キレキレのアクションだ。実はウィ・ハジュンは、大の格闘技ファン。自身もボクシングが趣味で美しい筋肉ボディを誇るのだ。また、本作では肉弾戦とともにコミカルな面を発揮しているのも見どころで、その幅広い表現力にドラマのオファーが絶えない理由が納得できるはず。

最後までハラハラして笑って泣ける本作は、ネタバレ厳禁ドラマだ。そのため、作品紹介やプロモーションなどでは、このドラマの真髄を伝えることができない。

ここでももちろん詳細は書けないのだが、ただのアクションコメディと思って気楽に観ていると後半驚くことになる。思いも寄らない展開が胸を打つ。生粋の韓ドラファンなら少し気づいてしまうかもしれないが、最終回まで観ると、「これは『大丈夫、愛だ』じゃないか!」と感じるはず。重さと軽さの配分がうまいのも本作の特徴で、最終回の痛快な終わらせ方もお見事。ぜひラストまでじっくり味わってほしい。

参照
※ https://kankoku-drama.com/special_topic/id=20419
(文=高山和佳)

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