井波彫刻伝統工芸士の南部寿宣（じゅせん）さん（64）＝南砺市北川・井波＝が、国宝の絵巻物「鳥獣人物戯画（鳥獣戯画）」を題材にしたパネル彫刻を作った。約50枚にわたり、絵巻に登場する擬人化されたサルやウサギ、カエルなどを精巧に表現した。南部さんは「彫刻でどう表現するか苦心した。木の温もりが伝わる作品になった」と話している。
鳥獣戯画にまつわる物を収集する岐阜県内の女性から昨夏、制作を依頼され、第1巻の場面から動物たちのユーモラスな姿をかたどった。パネルの幅は6～50センチと1点1点異なる。厚さは1.3センチ。材木はヒノキを使った。
欄間彫刻の技術を応用し、限られた厚みの中で立体感が出るよう工夫したという。昨年9月に制作に取りかかり、今春仕上がった。
井波木彫りの里「匠工房」（同市北川）に構える作業所で今月上旬まで展示する。南部さんは「井波彫刻の新たな在り方を示すことにもつなげたい」と話した。
