【葬儀のマナー】四十九日、一周忌など法要のしきたりとは?50代から心得ておきたい冠婚葬祭の常識

四十九日や一周忌に招かれたら、できるだけ行くようにしましょう。法要は供養のための行事。しきたりに沿って故人をしのぶことがいちばん大切です。三回忌までの法要と、三回忌以降の法要では、服装も異なっていきます。現代礼法研究所主宰の岩下宣子さんに教えていただきましょう。

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法要の服装は

四十九日や一周忌などの法要は親しい友人などを招いて行うことも少なくありません。法要は仏式の供養の儀式です。招かれたらできるだけ行くようにします。

三回忌までは喪服が基本です。一周忌はまだ悲しみも深く、葬儀の延長のような気持ちで行われるので、喪服で参列します。

三回忌になると、気持ちも落ち着き、ここで一区切りという時期。法要の際の服装も、黒や紺、グレーなどの地味なスーツかワンピースなどになっていきます。ただ、地味な装いの基準は異なるので、事前に確認するといいでしょう。

基本はきちんとした服装ならいいのですが、三回忌まではブラックフォーマルを着るという人も多いようです。その場合でも、帽子や手袋は、本葬後には身につけないのがルールです。

また、案内状に平服でとある場合、普段着でもいいと勘違いする人がいますが、「最上級の喪服でなくてもいい」という意味なので、カジュアルな服装で行くのは失礼です。

会場によっては喪服ではないほうがいいこともあるので、主催者に確認しましょう。

お別れ会・三回忌までの法要

喪服で行く人も多いのですが、ほどよく流行やファッション性をとり入れたブラックフォーマルの人もふえています。華美にならず、肌の露出が少ないデザインを。

装飾品はパールのほか、オニキスなどの黒い石のついたブローチなどもOKです。バッグ、ストッキングなどは黒で。

三回忌以降の法要

地味な色のスーツやワンピースを。ノースリーブやレースなど肌が透けるもの、白い服は避けたほうがいいでしょう。濃い色の口紅やマニュキアもNG。ストッキングは黒でなくてもかわないがタイツやブーツは避けて。

派手なアクセサリーは控えます。黒のコサージュをつけるのはかまいません。メイクは控えめにし、目を引く色のマニキュアはNG。

香典返しとあいさつ状を

香典は本来お返しの必要がないものですが、現在は忌明けに「香典返し」を贈るのが一般的になっています。

仏式では四十九日(三十五日とする場合も)、神式では五十日祭後に贈ります。キリスト教式では香典や香典返しの習慣がありませんが、日本では、1カ月後の昇(召)記念日や記念式に贈ることが通例になっています。香典返しにはあいさつ状を添えます。文面は、デパートなどにサンプルがあります。

品物はいただいた金額の3〜5割相当が一般的ですが、額に応じて選ぶ場合もあれば、金額にかかわらず同じものを贈る方法もあります。

かけ紙と表書きは宗教に合わせます。仏式では黒白結びきりの水引かけ紙に「志」「忌明志」とするのが一般的。神式では「志」「偲草」、キリスト教では「昇天記念」のほか、「感謝」「志」なども使われます。

精進落としは感謝と慰労の席

還骨法要のあと精進落としを行います。これは、僧侶や葬儀で世話になった人たちを感謝の気持ちでもてなすために、喪家側が設ける会食の席です。

かつて四十九日までを忌中とし、肉や魚などを使わない精進料理で過ごすのがしきたりでした。忌明けとなったときに口にする通常の食事が「精進落とし」の本来の意味です。「精進明け」ともいいます。

精進落としは忌明けの会食を指すので、その後の法事の際の食事会は、お斎と呼びます。

一同がそろったら、会食に入る前に、施主はお礼のあいさつをします。そのあと、近親者が音頭をとって、故人に杯をささげる「献杯」を行うこともあります。弔事の席では「乾杯」ではなく、故人に杯をささげる「献杯」ということを忘れずに。

僧侶が精進落としの席を辞退した場合は「御車代」と「御膳料」を、出席の場合は「御車代」を渡します。

最後に終了のあいさつをします。

もし、精進落としの席を設けないときには、そのかわりに全員に持ち帰り用の酒と、折り詰め弁当を用意するとよいでしょう。葬儀でお世話になったお礼も伝えて渡します。

法要が重なったら

1年のうちに2つ以上の年回忌が重なるときは、「併修((へいしゅう)合斎=がっさい・ごうさい=とも)」といい、あわせて行うこともあります。日取りは早いほうの命日に合わせます。ただし、一周忌、三回忌までは独立して行います。

※この記事は『50代からの冠婚葬祭きちんとマナー』岩下宣子監修(主婦の友社)の内容をWeb掲載のため再編集しています。

※2023年8月23日に配信した記事を再編集しています。


監修者
現代礼法研究所主宰 岩下宣子

共立女子短期大学卒業。全日本作法会の内田宗輝氏、小笠原流の小笠原清信氏のもとでマナーを学ぶ。1985年、現代礼法研究所を設立。多数の企業や公共団体などでマナーの指導、研修、講演、執筆活動を行う。NPO法人「マナー教育サポート協会」理事長。『美人のことば練習帖』(三笠書房)、『40歳までに知らないと恥をかく できる大人のマナー260』(KADOKAWA)、『書き込み式おつきあいを大切にする安心メモリー帖』(池田書店)、『冠婚葬祭マナーの新常識』(主婦の友社)など、著書、監修書多数。

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