犬の腎不全(腎臓病)は犬の死亡原因の第3位だといわれています。では、犬の腎不全はどのような病気なのでしょうか?
「犬の腎不全の原因と症状」について、いぬのきもち獣医師相談室の白山さとこ先生に話を聞きました。
犬の腎不全(腎臓病)とはどんな病気?
引用元:いぬのきもち投稿写真ギャラリー
犬の「腎不全(腎臓病)」とは、血液をろ過して尿をつくり、老廃物を体外に送り出す機能を持つ腎臓が何らかの原因で正常に働かなくなり、老廃物が体内にたまってしまう病気です。
この老廃物は脳や臓器にとって毒性があり、たまり続けると体にさまざまな悪影響をおよぼします。
腎不全は、大きく「急性腎不全(急性腎障害)」と「慢性腎不全(慢性腎臓病)」に分けられ、病気の原因や進行速度などがそれぞれ異なります。
急性腎不全(急性腎障害)の原因
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犬の急性腎不全(急性腎障害)は、数時間〜数日という短期間で急激に腎機能が低下する病気です。治療で回復することもありますが、腎臓への障害が大きいと慢性腎不全に移行する場合もあります。
急性腎不全の原因は主に
- 腎毒性物質の摂取による中毒、感染症などによる腎障害
- 心臓疾患や熱中症、出血などによる腎臓への血流低下
- 結石などによる尿路の狭窄や閉塞などの排尿トラブル
などが考えられます。
急性腎不全(急性腎障害)の症状
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犬の急性腎不全(急性腎障害)では、初期症状に食欲や元気がない、下痢や嘔吐、一時的な尿量や飲水量の増加、脱水などがあり、末期症状になると体温低下、意識障害、乏尿や無尿、電解質異常、けいれんなどの症状がみられます。
進行が早いことが特徴でもあるため、対応が遅れると血中に溜まった老廃物が脳や全身の臓器に障害を与える尿毒症を引き起こして死に至る危険性もあります。
慢性腎不全(慢性腎障害)の原因
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犬の慢性腎不全(慢性腎臓病)は、数カ月〜数年にかけて徐々に腎機能が低下する病気です。主にシニア犬に多く、一度発症すると完治できないともいわれています。
慢性腎不全の原因は未だ解明されていませんが、
- 老化による腎臓機能の衰え
- 遺伝的要因や自己免疫疾患
- 急性腎不全から回復後に慢性腎不全へ移行
- 熱中症や他の疾患による腎障害の影響
などが考えられます。
慢性腎不全(慢性腎障害)の症状
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犬の慢性腎不全では目立った初期症状がない場合がほとんどですが、腎機能が70%以上失われて初めて尿量や飲水量が増えるなどの症状が現れてきます。
さらに、腎機能が90%以上失われてくると、食欲の低下、嘔吐、貧血、口腔粘膜の壊死、アンモニア臭、乏尿や無尿、けいれん、意識障害などがみられます。
慢性腎不全は進行が遅い病気ですが、異変に気づいて検査を受けたときにはすでにかなり進行してしまっているケースが少なくありません。そのため、定期的な健康診断を受け腎機能のチェックを行うことが早期発見につながります。
急性腎不全と慢性腎不全は症状も進行の速さも異なるものですが、早期に発見し治療を始めることが大切です。
日頃から愛犬の水の飲み方やおしっこの状態を観察しておき、異変を感じたら動物病院を受診しましょう。参考にしてくださいね。
(監修:いぬのきもち獣医師相談室獣医師・白山さとこ先生)
参考/いぬのきもちWEB MAGAZINE『【獣医師監修】犬の腎不全とは? 原因や症状、ホームケア方法なども』
取材・文/maki
※写真は「いぬのきもちアプリ」で投稿されたものです
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください