「消滅可能性」と向き合う自治体 小千谷市が取り組む子育て支援・若い世代のUターン【新潟】

「消滅可能性」に自治体トップは

民間の団体「人口戦略会議」による消滅可能性自治体の公表が波紋を広げています。2050年までに若い女性の数が半分以下になる自治体は運営が立ち行かなくなる可能性がある、というもので、県内では18市町村の名があがりました。名指しされた自治体はどう受け止めているのか。その一つの小千谷市を地元出身の岡拓哉アナウンサーが取材しました。

■岡 拓哉アナウンサー
「小千谷市の中心商店街にきています。GWですが平日ということもあって人通りはまばらです。私が住んでいた15年ほど前に比べて、少し離れた郊外に新しい店が出来ている印象があり、商店街から人の流れが変わっているのかなと感じます。」

今回の調査で小千谷市は、2050年までの30年間で人口が約1万5千人減少し、20・30代の女性は50.7%減ると予測され、初めて「消滅可能性自治体」となりました。
商店街に50年以上店を構える人は。

■衣料品店
「前は流行って流行ってどうしようもなかったが…今は1日に一人くるか来ないか。子供も孫もみんな大学で東京に行って帰ってこないじゃない、もう、せつない。」

「消滅」をどう回避するのか。小千谷市のトップ・宮崎悦男市長に聞きました。
■宮崎悦男市長
「今は平時ではないですと、有事ですと昨年から話している。市役所内も市民もこの危機的状況を理解してもらうためにはある意味前向きにとらえている。」

宮崎市長は、「小千谷市は女性が働く職種が少ない」とした上で、今年度の予算では子育て環境の充実を図ったと話します。
■宮崎悦男市長
「病児・病後児保育、医療費の無償化や学校給食費の支援、親の子育ての悩みをサポートする、スキルアップする施策を、ソフトハードでそろえた。」

街の子育て世代は。
■去年から小千谷在住の人
「自然の中で子育てできるしせつがあったり、結構充実している。支援がないから困るとかはない。」

若い世代には、市外で学ぶ地元出身の学生にふるさとの名産を贈る「おぢやつつみ」や、起業・創業のサポート施設設置などの支援を進めます。さらに…

■岡 拓哉アナウンサー
「建物がかなりできてきています。商店街の中心に、この秋にも、市民が集う新たなにぎわいの拠点が完成します。」

9月末のオープンを目指す複合施設「ホントカ」。図書館を中心に、冬場でも家族連れで楽しめる空間など、新たな交流の場を目指します。
■宮崎悦男市長
「ホントカという名前は、本とかいろいろあるよという意味もあるが本当にそんなことをやるのか、ホントカ?というようなイノベーションを起こすような情報発信や学びの場にしていきたい。」

花角知事も会見で「市町村の取り組みを県もサポートする」と述べました。
■花角知事
「東京一極集中を是正し、真の意味で地方創生を実現していく国のあり方そのものにかかわる課題。人口減少問題の深刻さに警鐘を鳴らしたと理解している。」

宮崎市長は、市民と直接将来について語り合う場を設ける考えです。
■宮崎悦男市長
「どこかでしっかりとスイッチを入れ替えて有事として政策をぐっと前に進める。挑戦者を応援することで小千谷市は何か起こるぞ、小千谷に帰ってきて何か起こそうという空気を作っていきたい。」

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