JIGDRESSツアー「Don’t believe the hype」 対バン4人が集結「観て判断してとかじゃなくて、絶対にいいから来て」

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5月15日にファーストフルアルバム『MINORENTROPY』をリリースし、5月17日からはリリースツアー「Don’t believe the hype」をスタートする4ピースバンドJIGDRESS。そのツアーには、時速36km、ルサンチマン、アンと私と、JIGDRESSと親交が深く、今まさに勢いを増しているバンドたちが集結した。そのツアー開催に向けて、JIGDRESSの山崎大樹と時速36km・仲川慎之介、ルサンチマン・北、アンと私・二口の4人による座談会を実施。それぞれの音楽を追求しつつ、根っこにある魂の部分で固く結びついた彼らに、熱く語り合ってもらった。

――JIGDRESSのアルバムツアーに出演するバンドのヴォーカリストに集まっていただきました。まずは山崎さんからそれぞれをご紹介いただけますか。

山崎 慎ちゃん(仲川)が一番長いですね。もう6年ぐらいの付き合いで。俺に紆余曲折あったなか、今でも仲良くしてもらっています。

――仲川さんはどんな人ですか?

山崎 むずいな。慎ちゃんは一貫性があるんですよ。最初の頃からやってることは変わったけど、芯は変わらないというか。驕らないし、人当たりのいい稀有なヴォーカリストですね。で、北くんは、2年くらい前にツアーに呼んでくれて。うちのドラムの(ヤマグチ)ハヤト君はもともと付き合いがあって、ルサンチマンのもぎ(Ds)と仲良しなんですけど。

あいつ、ドラマーの友達を勝手に作ってくるんで(笑)。それでツアーも誘いやすくなって、北関東に一緒に行きましたね。

山崎 じつはルサンチマンにはいちばんツアーに出てもらってるんですよ。東京でもめちゃめちゃやってるし、もしかしたらこの中で対バンはいちばん多いんじゃないかな。世代的にはちょっと下ですけど、ちゃんと毒づいてくれるんで、そこがいいですね。

山崎大樹(JIGDRESS)

いや、毒づいてるつもりはないんですけどね(笑)。僕らが関わるいちばん上の世代で、ギリイジれる先輩っていうか……。

山崎 (笑)。最高だったのが、去年の12月にサーキットイベントをやったときに、前のバンドの最後のライブをやったんです。その時彼はMCで「再結成おめでとうございます。でも続けたほうが偉いんです」って言って曲を始めたんです。しびれましたね。

一緒にツアー回ってても、イセノ(Gt / JIGDRESS)さんとかはいちばんイジりやすいんです。ちゃんと返してくれるし、結構懐いちゃってます。

――ああ、「懐いてる」っていう感じなんですね。二口さんは?

山崎 もう1〜2年くらいの付き合いだよね。最初は、よく言うんだけど、「かわいいな」って思って。かわいいっていうのは、スタイル、やってることとか信念があるっていう感じがめっちゃかわいいなって思って。彼は彼で毎回いろんな悩みをクリアしても次の悩みがあったりするんですけど、そういうのを相談してくれたり、音源送ってくれたりしていて。結構かわいい後輩ですね。いちばん尖ってると思うんですけど、その尖っているところが愛せるやつというか……北くんもだけど、ちょっと毒があったほうが俺は好きで、そういうところが魅力的というか。俺ね、好きなんだよ。

二口 ありがとうございます(笑)。

二口(アンと私)

山崎 曲だけ聴いたら違うかもって言われそうだけど、根本のところでは結構近いことをやってる気がして、そういうところが好きです。

――逆に3人から見て山崎さんとかJIGDRESSってどういう存在なんですか?

二口 尖りのプロ、みたいな。対バンさせてもらったりすると、楽屋では楽しいじゃないですか。でもいざライブやると、なんか「怒ってんのかな?」みたいな。

山崎 (笑)。

二口 でもそれでハッとするというか、ちゃんとやろうみたいなふうになる。そのために都度いいタイミングでやらせてもらってる感覚が個人的にはあるんです。

仲川 尖りのプロっていうのは、ちょっとそうかもなというのはありますね。いわゆる尖ってる人って感じではないんです。全方位に威嚇して棘をずっと見せ続けるタイプの人ではないんだけど、人当たりのいい人に起こりがちな、周りの空気に飲まれるとか、そういうこともマジで一切ない。自分の音楽、ライブは絶対に守った上で人と接することができるって、これは俺、なかなかできないことだなと思うんですよ。そういう、音楽に関わる領域すべてをめちゃめちゃ大事にできる人だとは思ってますね。それがずっと念頭にあるからブレないでいられるタイプの人なのかなって。

僕はめっちゃ尖りを感じるというよりは、ツーマンをやって音で殴り合ってきて、お互いに「そこってどうなってんの?」みたいな、わりと音楽的な対話が多かったんです。そういうなかで思ったのは、JIGDRESSって一人ひとりのキャラクターが強いので、それだけでも充分バンドとしての魅力があるんですけど、そこだけじゃなくて、ちゃんと音に向き合ってる感じがするなって。そこが尖っているということなのかもしれないですけど、その一貫性みたいなのにシンパシーを感じますし、真摯だなって感じてますね。

北(ルサンチマン)

――4バンドとも音楽的にはそれぞれやろうとしてることがあると思うんですけど、今話に出た尖っている部分はどのバンドにもある気がしますね。

山崎 うん。これは全員に思うんですけど……「好きなことやってる」って言ったら簡単な話なんですけど、聴いてくれてる人が求めてるものを作ってるんじゃなくて、好きなものを作って出してるから「みんな聴いてくれよ、ライブ来いよ」って言える。そこがこの3人は美しいなと思ってて。めっちゃよかった曲のパート2を作って「お前らこれ好きだよね」みたいなのって客に対して全く真摯ではないじゃないですか。みんなそうじゃなく、少しずつお客さんを裏切っていくようなイメージがあるんですよね。そこが好きです。

――さっきから「尖ってる」っていう言葉が出てますけど、みなさん存在としては尖ってるのかもしれないけど、出てくる音楽とか表現とか、そういう意味では人を刺すようなものではないと思うんです。JIGDRESSのニューアルバムもまさにそうだなと思いました。すごい優しさみたいなものを感じた。

仲川 俺は「これがJIGDRESSだぜ」って言われてるようなアルバムだと思いました。僕らは前のバンドの頃からの付き合いで、JIGDRESSで前の曲もやってたりするから、延長線上にあるような気分もたまにするんですけど、今回のアルバムでもうマジで違うんだなって思ったというか。まずスケールが確実に上がったし、優しいみたいな印象を俺も受けたんですけど、あの頃よりもっと全方位にアプローチできるようになっているのかなって。

仲川慎之介(時速36km)

――当然前とは違うし、しかもJIGDRESSを組んでから出してきた音源とも印象が違いますよね。

山崎 ああ、そうですね。理由は明確にあって、今回作るにあたっていろいろ聴くなかでKillswitchっていうヒップホップに出会ったんです。好きなことしかやらないでアルバム1枚完成していて、でも一貫性もあって。「これでいいんだ」と思ったのが今回はかなりデカかった。全然曲調は違うんですけど、すごいなって。「好きなことをやる」って単純に散らかっちゃうイメージだけど、こんなに背骨があるアルバムになるんだって気づいて、今回そういうふうに作ったんですよ。それが伝わってるなら嬉しい。

――二口さんはアルバムを聴いてどう感じましたか?

二口 大樹さんは結構前から音楽をやってきて、JIGDRESSに変わって。そういうタイミングって、結構やめちゃう人とかもいるじゃないですか。でもいい意味で「まだやるんだ」っていう。1回折れてももうやり続ける人の渋みみたいなのは結構感じました。

山崎 そう思う。(北に)続けるのがいちばんかっこいいもんな?

(笑)。

山崎 続けるのがいちばん難しいことで、いちばん偉いって言い方はアレだけど、かっこいいことだと思います。

――山崎さんは自分ではどんなアルバムになったと思いますか?

山崎 初めて、だいぶお気に入りの音源ができたかなって感じがします。今回は録りの一音とかにもわりとこだわったりして。1曲目の「taog」なんて、ベースの音を作るのにトータル50時間くらいかけてるんですよ。でもそれってすごくずっとやりたかったことで。だからできてめっちゃ嬉しいし、あとさっきの話に戻るけど、求められてるものじゃなくて「これ作りたかったんだ」っていうのが本当にできたから。ちょっと前の自分を否定するのもアレだけど、本当に「聴けよ」って思えるアルバムができたのはデカいし、マジで嬉しい。

――過去の曲の再録もいっぱい入ってますけど、その作業はどうでしたか?

山崎 めっちゃ難しかったです。もう二度とやらない(笑)。もうイメージでき上がってるし、別の曲にしていかないといけないけど、そのためによさを殺してっていうのはちょっとエゴすぎるなっていうのもあって。

でも前の音より好きでした。

山崎 マジで? 超嬉しい。ルサンチマンも「荻窪」とかは録り直してるよね? あれも今の方がいい。

そう思います。「前の方がよかった」みたいないろいろ言ってくるじゃないですか。めちゃくちゃムカつくんすよね(笑)。そんなわけねえだろって。聴く人のなかでは補正がかかっていたりするのかもしれないけど、「今のほうがうまいに決まってんだろ」って思います。

――山崎さんはJIGDRESSを始めて以降、その思い出補正とめちゃくちゃ戦ってきたと思うんですよ。

山崎 はい、そうっすね(笑)。12月のサーキットが決定的だったんですよ。それでそれまで作ってた新曲は捨てたんです。あの日に思ったのが、「誰かが喜ぶためのことしてんじゃん、俺、ここにいる全員に対して、全くもって不誠実じゃん」っていう。なんかキショイなって感じたんですよね。

――これまでお互いに対バンをしてきて、何か印象に残っていることはありますか?

山崎 二口くんはこないだ大阪で弦を切ったときあったじゃん。

二口 はいはい。

山崎 で、中の状況は焦ってるけど、演奏はすべてが上手く噛み合ってて、なんなら弦切ってよかったんじゃね?っていうくらいで。前のアンと私だったらそうはならなかったと思う。本当に結構進化しまくってるなって思った。

二口 僕たち、JIGDRESSと対バンしたら毎回誰かしらが弦切るんですよ(笑)。弦切るエピソードがすごいあって、それこそ12月にやったときも弦切ったし。そのときのライブが最悪で。俺、誰かが弦切ったら「もう終わった」って顔に出ちゃう感じだったんですよ。で、弾き語りで一緒になったときか何かに「そういうときってどうします?」って(山崎に)相談したら「俺はラッキーだと思う」って。「だって弾き語りできるから」みたいなことを言われて、怒ってた俺はちっちゃいやつだなって思って(笑)。そこから、メンバーの誰かが弦を切っても怒るのはやめましたね。まだ誰も切ってないですけど、次切れたら、ちょっと弾き語りやろうかなって思ってるんですけど。

山崎 不意に言ったことって結構影響を及ぼすんだね。まあ、俺も何回も弦切ってるけどね。

――JIGDRESSと対バンするたびに弦が切れるっておもしろいですね。

二口 だから今回もたぶんあるんだろうなって。

山崎 3セットは持ってきたほうがいいかも。

――北さんはJIGDRESSとの対バンの思い出というと?

ここで仲良くなったなってタイミングは、JIGDRESSが誘ってくれたツアーでした。東名阪ツアーで、東京はワンマンだったんですけど、大阪と名古屋はどっちもルサンチマンとJIGDRESSのツーマンで。連日で大阪、名古屋でやったんですけど、初日大阪で「ぼちぼちいいライブしたな」みたいな感じで、みんなでお酒引っ掛けながらワイワイ話して。結構飲んで、朝方に寝て、名古屋に向かって。そしたら名古屋のライブのほうが3倍くらいよかったっていう(笑)。お互い追い詰められたときの火事場の馬鹿力じゃないですけど、そういうヒリヒリ感みたいなのがあるほうがうまくいくときもあるっていうのを発見できたので、それはお互い一歩成長したなっていうのを、肌感覚でわかったライブでしたね。

――仲川さんはどうですか?

仲川 俺らってJIGDRESSとバンドとしての対バンはあまりないんですよね。JIGDRESSが組みたての頃に俺らの企画で呼んだんですけど、楽屋が楽しすぎて何も覚えてないんだよな(笑)。なんか楽しくてしょうがなくて、俺とか普通にNintendo Switchを持ち込んで。イセノさんがスマブラ強いんですよ。で、俺もスマブラめっちゃ強いんですよ。だからふたりでやったりして。本当に本番の何分か前までそんなことをしてたんですよ。後からお客さんの声で「楽屋がうるさすぎた」みたいなことも言われるくらい、マジで楽しくて。でも1個思ったのは、めちゃめちゃ楽しくて、ニコニコしたまま出ていったんだけど、ライブ始まったらJIGDRESSは目がギンギンになってて。やっぱりこの人たちはほんと飲まれねえなって、しみじみ思ったのは覚えてますね。

――そんな3組と、今度はアルバムツアーで対バンすることになるわけですが、ファイナルのワンマンを除く5公演を3バンドで、とくにアンと私は3公演に呼ぶっていう。なぜこういうラインナップになったんですか?

山崎 俺、あんまりそんなにバンドの知り合いいないし、だから対バンは限られてるけど、やるならわちゃわちゃしてやる感じじゃないほうがいいなと思ったので。ここのみんなは仲はいいけど、ステージで「この間一緒に飲んでどうのこうの」みたいなことを絶対言わない。マジで真剣にライブするから。だからこうなりました。で、空いてるところをどうしようと思って、でも最近のそういうバンドがわかんねえなと思って、アンと私にオファー出したら「あ、いいっすよ」って(笑)。

――どういうツアーにしたいと思っていますか?

山崎 もう、全員来てほしいですね。全員に観てほしい。観て判断してとかじゃなくて、「絶対にいいから来て」って感じ。

――初日は新代田FEVERで時速36kmとになります。

仲川 嬉しいですね、やっぱり。我々もこの人たちのこと大好きだから、大事な初日に呼んでもらえるのが嬉しいし、アルバムを聴いてまた上がりましたね。クソかっけえアルバムを引っさげたツアー初日かよ、みたいな。「これはやってやんなきゃな」みたいな意識はまた出てきました。「楽しみだな」だけじゃなくて、俺らも学べるところは学ばないとなみたいな感じになってきましたね。JIGDRESSはたぶんいい日にするためのライブはできるんだろうから、これは俺ら次第かもしれんな、マジで頑張んないとなみたいな。

――ルサンチマンとは仙台で。

仙台のFLYING SONって形状がちょっと下北沢のDaisy Barに似てるんですよ。1回デイジーでJIGDRESSとツーマンやってめちゃくちゃいい日になったんで、それと同じかそれ以上にはなることは確信してるので、何の心配もないかもしれないですね。やっちゃってください、俺らもやっちゃいますっていう。

――そしてアンと私は6本中3本一緒にやるわけですが、どうなっていくんですかね?

二口 そうですね。アルバムツアーだし、JIGDRESSのライブ自体は絶対によくなるわけじゃないですか。だからそこは、「今日っていう日をいいライブしていい日にしよう」とかはまったく思ってなくて。ライブバンドとして、JIGDRESSは自分たちよりも格上だと思ってるんで、気持ち的には全部食いに行く気持ちでいます。で、食えるか食えないかっていうのだけで。僕のマインドはそれで行こうかなと思います。

山崎 俺も食らうんだろうな。

二口 いやいやいや。でも、お客さんには申し訳ないですけど、1回ぐらいめっちゃ失敗しても僕らのマインド的にはあと2回あるので。

――そんなツアーを回って、7月19日のWWWXワンマンに向かっていきます。

山崎 7月19日、気づいたら母親の誕生日でした(笑)。とにかくこの3バンドが出てくれた後だからこそ、真摯に、凛とした日にしようと思ってます。

Text:小川智宏 Photo:小境勝巳

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<ツアー情報>
JIGDRESS 1st album release tour “Don’t believe the hype”

5月17日(金) 新代田FEVER
OPEN19:00/START19:30
w/時速36km

6月8日(土) 福岡UTERO
OPEN18:30/START19:00
w/アンと私

6月14日(金) 仙台FLYING SON
OPEN18:30/START19:00
w/ルサンチマン

6月22日(土) 大阪 寺田町FIRELOOP
OPEN18:30/START19:00
w/アンと私

6月23日(日) 名古屋R.A.D
OPEN18:30/START19:00
w/アンと私

7月19日(金) 渋谷WWWX
OPEN18:00/START19:00
※ONEMAN

チケットはこちら:
https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventCd=2406884

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