『Believe』木村拓哉×脱獄ものは相性抜群の面白さ 竹内涼真は一体何者?

ドラマ『Believe-君にかける橋-』(テレビ朝日系)第2話では、狩山(木村拓哉)の脱獄計画が決行される。

「龍神大橋」建設現場で起きた崩落事故の真の原因を隠蔽し、全責任を被ったことで1年6カ月の懲役を受けた狩山。弁護士の秋澤(斎藤工)を通じての再審の道のりは険しく、癌を患っていることを告げられた妻の玲子(天海祐希)に会いにいくため、狩山は国立刑務所からの脱獄を計画する。

刑務所からの脱出は海外での映画やドラマでは多く描かれてきており、名作も数多く生まれてきているが、近年の日本では意外と少ない。そんな求められていながらも壁の高かった人気ジャンルに、木村拓哉の主演で挑むということは意義深いことでもあるだろう。

初回では、狩山がなぜ「業務上過失致傷罪」の責任を問われることになったのかまでが、刑務所の囚人としての現在と、大手ゼネコン「帝和建設」の土木設計部部長としての過去が交錯するように描かれていった。そこで井上由美子による脚本は視聴者の心を掴んだ印象だが、第2話ではその視聴者をも騙す形で、狩山は脱獄を企ていく。

共犯となるのは、同房者の野口(濱田龍臣)。端的に言えば、「騒ぎを起こして逃げる」2人の計画を地獄耳の灰谷(一ノ瀬ワタル)が聞きつけ、騒ぎを起こす役を引き受ける。だが、それはダミーで灰谷が主任刑務官の宇崎(尾上寛之)に密告することは想定済み。その裏をかいて狩山は野口と喧嘩をし、怪我をして病院に緊急搬送されることで刑務所を出ることが目的だった。出られさえすればチャンスはある、というのが狩山の考えだ。

狩山と野口にも想定外だったのが、ボケていたはずの小野(小野武彦)が暴れ役を引き受けたこと。周りから認知症だと思われていた小野が、実は芝居で洞察力に長けた人物だったという展開。2人は薄々それに気づいていたようだが、ここで協力するというのは予想していなかったことだろう。

野口から強烈なボディーブローを食らった狩山はストレッチャーに乗せられ、救急車に乗車することは成功。静かに喜びに浸る狩山だったが、そこに先に乗っていたある男が「これは、大事だね」と声をかける。刑務官の林(上川隆也)だ。宇崎も驚いた表情を見せているところを見ると、林だけはこうなることを読んでいたということだろう。絶望と激しい動揺を滲ませる狩山にとっては、ボディーブローよりも先回りされていたことの方が効いているかもしれない。あと1年で定年を迎える林の「私にとって、最も忘れられない受刑者になるだろう、君は」という言葉は、つまり絶対に脱獄などさせないという宣戦布告とも捉えられる。

狩山から修正前の設計書を託されていた南雲(一ノ瀬颯)の葛藤やそのことに気付きつつある婚約者の本宮(山本舞香)も気になるところだが、初回から謎の人物として話題となった黒木(竹内涼真)が早くもフィーチャーされた回でもある。竹内涼真は龍神大橋の崩落で亡くなった施工業者の若松とサングラスがトレードマークの刑事・黒木を演じている。あまりにも謎の設定だが、劇中でも玲子がそのことに気付き始めたことから同一人物……ということも一概には言えない、まだベールに包まれたキャラクターだ。

(文=渡辺彰浩)

© 株式会社blueprint