没後15年【5月2日は忌野清志郎の命日】RCサクセションのロックンロールは続く!  人生のお供にRCサクセション!清志郎の声は今も響き渡っている

最初の公式音源となる「泥だらけの海」のライブバージョンが収録

早いもので、忌野清志郎が58歳で世を去ってから15年が経とうとしている。そんな折、タイムリーにリリースされた編集盤2種。『ロックン・ロール~Beat, Groove and Alternate~』のRCサクセション編と、忌野清志郎編。いずれもCD2枚組で計4枚。発表年順の収録ではなく、時代を行ったり戻ったりしながら並べられている。すべて通して聴くと、7時間弱!いやはや、これは壮観としか言いようがない。

“ロックンロール” というタイトルどおり、清志郎が遺した比較的ノリのよい曲をコンパイル。シングル曲もあればアルバムオンリーの収録曲、さらに今では入手困難な音源も収録されており、痒いところに手が届く内容。本稿では、その2タイトルのうち、RCサクセション編について語っていく。

もっとも古いのはRCサクセション最初の公式音源となる1969年発表の「泥だらけの海」のライブバージョン。清志郎のプロのアーティストとしての歴史は、ここから40年に渡って続いたのだ。1969年というと自分は3歳で、もちろんRCの存在など知る由もない。「泥だらけの海」は公害を題材にした歌だが、そんな社会問題を認識できる年齢でもない。自分に近い世代が公害を意識するようになったのは、1971年の映画『ゴジラ対ヘドラ』あたりからか!? ともかく、筆者がRCを知るには、このデビューから10年ほど待たねばならなかった。

エッジが立っていたフォーク時代のRCサクセション

ご存知のとおり、当初フォークグループだったRCは1979年頃からスタイルを変え、ロックンロールバンドとして台頭し始める。しかし、「泥だらけの海」もそうだし、「2時間35分」「ファンからの贈り物」も同様だが、フォーク時代とはいえエッジが立っていることを、この並びで聴くと改めて確認できる。2002年発刊の書籍『ロック画報』付属のCDに収められた「もっと何とかならないの?」はRC編にボーナストラックとして収録されているが、これもフォーク時代の音源。音質はよろしくないが、その歌詞が後に「トランジスタ・ラジオ」に流用されたことを思うと嬉しいオマケだ。

その「トランジスタ・ラジオ」の辺りから筆者はどんどんRCにのめりこんでいくのだが、ここに収録された同曲は “ロングサイズ” という副題がついた別バージョンで、一度だけ過去のベスト盤に収められたことがある。このバージョン、聴き慣れたオリジナルに比べると少しばかりゆったりしているが、歌詞で歌われている “授業中の眠気” の空気を感じさせて、これはこれでイイ味を出している。当時、中学生だった筆者も、天気のいい日の教室での眠気を思い出した。

ライブ盤からのセレクトも少なくないが、「ドカドカうるさいR&Rバンド」はギターリフに歓声が重なる『THE KING OF LIVE』収録の鳥肌が立つようなバージョンであるのが嬉しい。同じくライブバージョンでの収録の「サマーツアー」がヒットしたのは高校1年の頃だったが、この年にRCは大規模な全国ツアーを行ない、筆者の地元、秋田にもやってきた。3年前はライブハウスのキングだったが、このときは先のアルバムタイトルどおり、ライブのキングとなっていた。

清志郎のルーツをうかがわせる曲をしっかり収録

RCの後期からは比較的、ツウ好みの曲が選ばれているが、これは学生時代に熱心に聴いていたファンとしては懐かしいというか、素晴らしいというか。没後、「サマータイム・ブルース」のような反原発ソングがやたらと盛り上がり、そちらに目が行って他が目立たなくなったということもあるが、ソウルフルな「MIDNIGHT BLUE」やブルージーな「悪い星の下に」など、清志郎のルーツをうかがわせる曲をしっかり収録。RC最後のオリジナルアルバム『Baby a Go Go』から収録された「Rock'n Roll Show はもう終わりだ」は、当時就職して間もなかった筆者の気持ちに妙にフィットしていたことも、聴いていて思い出される。

振り返ると、このRCの実質的な終焉に、とくに寂しさを覚えたわけではなかった。正式に解散を発表したわけではなかった… ということもある。何より、清志郎がタイマーズの他、ソロ活動に忙しく、そこから目が離せなかったということが大きい。RCのロックンロールショーは終わったのかもしれない。しかし、「ベイビー!逃げるんだ。」の歌詞のように “ロックはもう卒業だ” と言い切るには、清志郎はあまりに刺激的過ぎた。

気が付けば、筆者も今年は清志郎の没年齢になる。今もロックを卒業した気にはなっていないものの、髪は切るより先に抜けていく、そんな年齢だ。58歳になっても、「自由」のように強気になるときもあれば、「バラバラ」のようにシニカルになることもある。それを繰り返しながら、ロックンロールショーは続く。『ロックン・ロール~Beat, Groove and Alternate~』は、そんな人生のお供にピッタリじゃないか。

カタリベ: ソウママナブ

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