「洗濯物が綺麗に出てくる。当たり前じゃない」西尾隆矢が代表活動で見せたスタッフへの“気遣い”。思いやる姿勢を貫く背景にあった父の言葉【U-23アジア杯】

当たり前のことを当たり前に――。持ち続けてきた人生のテーマが行動に表れている。

カタール・ドーハで開催中のU-23アジアカップに参戦しているU-23日本代表のDF西尾隆矢が、今回の活動の中で心がけて行なっていることがある。それはホテルで、洗濯物を畳むスタッフの手伝いだ。

プロ選手ともなれば、選手がサッカーに集中できるよう、多くのスタッフが身の回りの環境を整えてくれる。しかし、西尾はそれに甘えることなく、自分でできることはなるべくやるように心がけている。自クラブでは、洗濯物を畳むことは少ないが、クラブハウスやロッカーも出来る限り掃除をしている。

そういった意識を持つようになったのは、子どもの頃、父親に言われたある言葉がきっかけだった。

「これはずっと自分の頭の中にある父親の言葉なんですけど、『当たり前のことを当たり前にやり続けよう』というのがある。僕は人間はみんな平等だと思っています。誰かがすごいとか、そういうわけでは絶対ないと思いますし、僕も一切そういう忖度はしない。自分もそういう偉そうな態度は取ってはいけないと思っています」

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だからこそ、スタッフが洗濯物を畳んでいたら手伝う。西尾にとってそれは当然のことだ。

「僕たち以上に睡眠時間が少なかったり、疲労が溜まってるのってスタッフの皆さんだと思う。洗濯物が当たり前に綺麗に出てくる、その状態がもう当たり前じゃないというのを自分たちは自覚しないといけない。プロサッカー選手だから、もう何でもしてもらえるというのは大きな勘違いだと僕は思っています」

当たり前のことを当たり前にやるのは、ピッチ外だけでなく、もちろんサッカーでも。パリ五輪の出場権を獲得したU-23日本代表において、本番が近づくほどに、選手たちのメンバー入りへの競争も激化していく。

西尾は「日本に帰ってからも、いろんな競争が出てくると思う。本当に1日1日を大事にして、当たり前のことを常日頃からやり続けることが、オリンピックへの道に繋がってくと思う」と変わらず、その姿勢を貫いていくと誓った。

取材・文●手塚集斗(サッカーダイジェストWeb編集部)

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