新庄の郷野目ストアが破産、負債24億円 地元の老舗、惜しむ声

閉店したマルシェゴーノメ新庄店=2日午後3時16分、新庄市桧町

 帝国データバンク山形支店、東京商工リサーチ山形支店によると、スーパーマーケット経営の郷野目ストア(新庄市、郷野目弘美社長)が2日までに事業を停止し、同日、山形地裁から破産手続き開始決定を受けた。負債は約24億円。

 1911(明治44)年に創業し、現在の運営会社は75(昭和50)年に設立。最上地域のほか、一時は河北町にも出店し2001年6月期には5店舗体制で62億円の売り上げを計上した。00年に大規模小売店舗法(大店法)が廃止された後は大手スーパーの新庄市への進出が相次ぎ、人口減少もあって売り上げは減少。不採算店舗を閉店して採算性の確保に努め、21年からは新庄市と真室川町の2店舗まで縮小した。

 22年には店舗のリニューアルを実施。「マルシェゴーノメ」と改称して他社との差異化を図ったが、23年6月期の売り上げは12億円にとどまり、1億5900万円の赤字を計上した。今期も業績が回復せず、資金調達力も限界に達して事業継続を断念した。

 破産手続き開始決定の告示書が貼られた新庄市桧町の店舗前では、閉店を惜しむ声や驚きの声が飛び交っていた。

 経営する飲食店の仕入れで利用することもあったという同市の70代女性は「1週間ほど前に行った際に品物が少なくて心配していた。地元の老舗企業がなくなるのは寂しい」と話し、高齢者の買い物が不便になることも気にしていた。同市の80代女性は「地元の食材や総菜が豊富で利用していた。何年もポイントをためていたので残念だ」と驚いた様子だった。

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