実は日本語対応している路上生活シム『Bum Simulator』再訪プレイレポート。クレイジーな世界観を背景に、遊びやすく丁寧に作られたゲーム性が見事!それはそれとしてクレイジーです【特集】

実は日本語対応している路上生活シム『Bum Simulator』再訪プレイレポート。クレイジーな世界観を背景に、遊びやすく丁寧に作られたゲーム性が見事!それはそれとしてクレイジーです【特集】

いよいよ2024年のゴールデンウィークも後半に入っています。ゲーマー諸兄の皆様は、この機会にと積んでいたゲームや新しく買ったゲームを遊んでいるのではないでしょうか。

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Game*Sparkでは新作ゲームのプレイレポートを定期掲載しており、発売すぐのゲームの様子をお伝えしてきました。しかしレポート掲載後に早期アクセスから正式版リリースへと移行したり、幾度の大型アップデートを行い、紹介時とは大きく変わっている作品もたくさんあります。

以前紹介したあのゲームの“今”を伝えたいという企画「再訪プレイレポート」。今回は、2021年8月30日に取り上げたホームレス生活シム(?)『Bum Simulator』の“今”をお伝えしていきます。

鳩マスターの主人公が話すカートの相棒と悪の企業に立ち向かう!

『Bum Simulator』は、デベロッパーPlayWay、パブリッシャーRagged Gamesから2021年8月26日にSteam早期アクセスでリリースされた作品です。プレイヤーは舞台となるバムスビルの町で、悪の企業「EvilWay」によって脳を切り取られてしまった男となり、“しゃべるカート”に改造されてしまった相棒・カールとともに大きな陰謀に立ち向かいます。

ゲームとしては町中で物乞いしてお金を稼いだり、ライバル浮浪者ギャングと縄張り争いをしたり、拠点をクラフトしたりと、自由な生活とサバイバルを楽しめます。また、主人公はピジョン(鳩)マスターとして、相手に鳩をけしかけたり、鳩の集団でトルネードを起こしたり、さまざまな鳩攻撃を使えるのも大きな特徴です。

物乞い用のプレートは自分で描けます。

脳を切り取られた主人公はまともに話すことができず、記憶もほとんどありません。それをサポートするのが頼れる相棒カートの存在。彼はプレイヤーを導いてくれるだけでなく、そのボディを活かして「高速移動」「移動するインベントリ」などの役目を持つ、非常に優れた能力を持っています。ややうるさいのが欠点ですが。

主人公はレベルアップとともにパッシブ能力を覚えていきます。さらに、拠点に特別な鳩のケージを置けば新たな鳩スキルが使えるようになり、戦闘は大幅に楽になっていきます。拠点は巨大な建物も作れますが、定期的にライバル浮浪者集団が襲撃してくるので要注意。それでもタレットや地雷などもあるので、用意しておけば一安心です。

料理や農業、クラフトといった要素もなかなかの充実っぷりで、慣れてくればかなり豊かな生活になります。気が付けば、仲間の浮浪者を派遣して素材を集めたりといった幅広い遊び方もできますよ。早期アクセスではメインストーリーが実装されていないものの、ゲームの基本的なメカニクス部分はほぼ体験可能でした。

昨年に正式版へ移行&日本語対応!

『Bum Simulator』は2018年に発表され、リリースまで幾度の延期を行ってきた作品でした。開発チームは定期的に開発状況などを発信し、ベータテストなどを通じて作品をアピールし、早期アクセスリリース前のウィッシュリスト&コミュニティリスト登録キャンペーンで大きな支持を集めています。

そして、リリース後も正式版に向けて定期的なアップデートを実施したほか、正式リリース後も日本語対応を含むアップデートなどを行っています。ここでは、本作のこれまでの大きな変化を紹介していきます。

◆2021年10月25日(1.10.22.a)

初の大型アップデート

早期アクセスリリースから初の大型アップデートです(それまで不具合修正のアップデートも配信)。このバージョンからはキーバインドが可能になり、ゲームがより遊びやすくなりました。

『Bum Simulator』は比較的シンプルな操作で楽しめるゲームです。しかし、拠点での建築モードの移行、スキルやジャーナル画面への移行、町の人への「おしっこ」「中指を立てる」など、楽しむために重要な操作も多いので、手軽にカスタマイズできることは大きな進歩と言えます。

◆2022年4月29日 (バージョン2.4.29.a)

サイドクエスト追加&中国・韓国語フォントサポート

ゲーム内の重要人物であるイカれた爆弾魔ピエロのMr.ジェロと、イカれた血だらけ白衣のドクターことW.イーストから町中で受けられるサイドクエストが増えています。また、ゲーム内で韓国語および中国語のフォントサポートが行われました。

Mr.ジェロの代表的なクエストは「気に入らない商売相手のところに“プレゼント”を運べ」など、カールの速度を活かした配達。ドクターW.イーストの代表的なクエストは「なぜ人がヒゲを生やすのかわからないので、調べるためにKOした髭面の男でコンテナを一杯にしてほしい」などの知的好奇心に溢れた内容です。

また、このアップデートとともに本作のVR版である『Bum Simulator VR』が発表されています(発売日未定)。

◆2023年5月12日(バージョン3.5.09.a)

製品版リリース

ついにSteam早期アクセスを抜けて、正式版へと移行するアップデートが配信されました。このアップデートではメインストーリー完結に向けたストーリーラインの追加や、醸造できるポーション種類が増加などの変更が行われています。そのほか、ゲーム内メカニズムの調整やQoL改善、バランス変更、不具合修正なども実施されています。

ゲーム内のポーションはある程度ストーリーを進めると解放されるシステム。既存のアルコール類に怪しい材料を混ぜることで、飲むとゲップの力で相手を吹き飛ばす「ファス・ダ・ビア(FUS-DOH BEER)」などを作れるようになります。ポーションは飲むだけでなく、投げつけることで別の効果が生まれるので非常に便利なアイテムです。

◆2023年6月15日(バージョン3.6.14.a)

なぜだ!主人公のうめき声をON/OFF可能に

このアップデートでは多くのバランス調整などが行われるもの。追加要素としてはマップをよりわかりやすいものにするだけでなく、なんと「主人公のうめき声やつぶやきを無効化する」というオプションが追加されています。

説明した通り主人公は悪の企業「EvilWay」によって脳を切り取られてしまった立場で、ゲーム内ではまともに喋ることができません。それでも鳩マスターとして活躍する主人公を頼る(?)ものは多く、クエストでは会話が発生します。主人公はその中で相づちや疑問などをうめき声で出すのです(当然ほとんど伝わりません)。

また、町中でいいものを拾ったりなど、さまざまな場面でもうめき声やよくわからないつぶやきを出します。この“silent protagonist”オプションでは、その多くをゲーム内から無くすというものです。個人的には少しもったいないかなとも思いますが、これも望まれたものなのかもしれませんね。

◆2023年7月13日(3.7.12.a)

待望の日本語対応!

現時点での最後のアップデートですが、ここで待望の日本語対応が行われています。日本語翻訳はペ☆ヤング氏によるもので、元々は非公式日本語化パッチとして配布する予定だったものの、公式に許可を取ろうとしたところで正式に採用。ゲームの雰囲気と合わせて、とても遊びやすい内容になっています。

このアップデート以降は『Bum Simulator』のアップデートは行われていませんが、2024年4月7日に開発チームの新作『Police Station Simulator』が発表されました。本作は荒れ果てた警察署の責任者となる管理マネジメントシミュレーターです。

捜査チームを結成して事件に割り当てたり、報告書を閲覧してサインしたり、仲間の士気を保つためにドーナツを差し入れたりと、プレイヤーの仕事は署内で行うものがメイン。リノベーションや拡張などの要素もあるようです。

日本語対応が快適ホームレスライフ!

早期アクセス段階でもかなり遊びやすかった『Bum Simulator』ですが、製品版への移行を含むアップデートで全体的な遊びやすさが大きく向上しています。その中でも日本語対応は非常に嬉しいもので、ストーリーやスキルの説明がとてもわかりやすくなっています。

本作の魅力は、やはりそのクレイジーな世界観。主人公とカールの設定はもちろんですが、街中には鳩の着ぐるみの婦人、謎のネズミ人間とインパクト抜群のメンツがいて、しかも主人公の味方として活躍してくれます。一番好きなのは「一般人が車に轢かれるところが見たい」などの仕事でお金をたくさんくれるリッチマンさんですね。きっと慈善家でしょう。

ストーリーはメインクエストを任意のタイミングで受けられるので、プレイヤーは時間に縛られずに自由なプレイを楽しめます。定期的に発生する拠点への襲撃は、自力で護るだけでなくお金を払ったり、仲間の浮浪者を助けた際に獲得できる「リスペクト」を消費することでも解決可能なので、リソースに余裕があればとてものんびりと遊べるでしょう。

戦闘では鳩の集団による鳩嵐こと「ピジョネード」をレベルアップすると、恐るべきレベルで強くなるのでおすすめです。パンチを強化するアップグレードもあるので、鳩に頼らず拳ひとつで解決してやる!という人も満足できるはずです。


『Bum Simulator』はそのおかしな世界観だけに頼らず、サバイバルシミュレーションとしても遊びやすい作品です。その上で主人公やカールたちを取り巻く環境や仲間たち、そもそもデベロッパー「PlayWay」をもじった「EvilWay」などを代表するジョークなど、個性豊かな内容を楽しめます。

ゲームとしても重要スポットへの導線やマップの抜け道などの配置、カールの邪魔にならない移動や制作したポーションの記憶機能など、遊んでいてストレスにならないようなゲームデザインはとても秀逸。日本語の追加もあり、物語のテーマが苦手な人でなければオープンワールドアクションとしてもおすすめしやすい作品です。

どんどん積もう。俺の家。

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