5月3日が誕生日、57年間愛され続ける「リカちゃん」の歴史を深掘り

リカちゃん公式Xより

1967年に生まれた『リカちゃん』。ごっこ遊び用の玩具としてリリースされた着せ替え人形だが、今では着せ替え人形の域を超えて活動の幅が広がっている。さて、5月3日はそんな「リカちゃん」の誕生日だ。そこで今回は、誕生日を祝って、57年にわたって愛され続けるリカちゃんの魅力を深掘りしていこう。

■リカちゃんの誕生と進化の歴史

グループサウンズが流行り、ツイッギーの来日に沸いた1967年。タカラ(現タカラトミー)が、日本の家庭にあったドールハウスと着せ替え人形を開発し、リカちゃんが誕生した。

初代リカちゃんはカールヘアで、やや釣り目の少女漫画風な顔つきである。腰のジョイントがなくおへそがついていて、後にパーツを動かせるように進化していった。ちなみに、おへそありはレア度が高く、オークションでは高値で売買されている。

その後2代目を挟み、1982年に「おしゃれなリカちゃん」をテーマにしたストレートヘアの3代目が登場する。目はキラキラ感がアップして顔も小さく変化し、可愛らしい顔立ちになった。

1987年には、身長が1センチ伸び、瞳のハイライトが強いたれ目ぎみの4代目が登場し、現在までこの形がベースとして引き継がれている。が、実はその後1992年に“幻の5代目”と呼ばれる「ピンキーピンクリカちゃん」が発売されていた。

5代目は黒目がちな瞳で、プリンセスのような笑みをたたえた、これまでとは違う顔つきだ。25周年記念のタイミングで売り出されたのだが、人気は4代目に及ばず1年間のみの販売となった。

■どれだけ知ってる?家族やお友だちも続々発売

リカちゃんは、1969年に発売された初代ママ「香山織江」を皮切りに、多くの関連キャラが発売された。フランス人のパパ「ピエール」は長年行方不明だったが、1989年に満を持して登場。突然育児に目覚め、2014年には「イクメンオブザイヤー」を受賞している。

さらに祖父祖母、双子と三つ子の妹・弟、そしてペットが発売され大所帯になっていくが、実はリカちゃんには姉もいた。1972年に発売された姉「リエ」は客室乗務員で、キラキラした瞳とボブヘア、耳の下のほくろが特徴。しかし、残念ながら数年で販売が終了し、現在は消息不明である。

友だちキャラの初代は、1969年の「いづみちゃん」。そこから「かおりちゃん」「もえちゃん」などさまざまな友だちが登場し、近年ではブルーヘアの「さくらちゃん」やプリンセスの「みゆちゃん」など、シリーズごとに友だちが増えていった。

パリにW杯を見に行ったときに仲良くなったフランス人の「ショコラ」や、近所にできたコンビニのオーナーの娘「みほちゃん」など、設定が細かかったりそれぞれに将来の夢があったりと、個性があって面白い。

■実は恋多きリカちゃん!歴代ボーイフレンドを紹介

リカちゃんには、これまで6人のボーイフレンドがいた。最初の彼は、リカちゃん発売の翌年に登場した「橘わたる」だ。彼の登場で、子どもたちはお姫様と王子様ごっこをしたり家族ごっこをしたりと遊びの幅が広がった。

わたるくんは、目がキラキラと輝いていてまつ毛が非常に長い。イメージは宝塚の男役で、文武両道という王道の王子様キャラだ。2代目は、1976年の「マサトくん」こと「藤原まさと」。彼は太めの眉毛に浅黒い肌、ボリューミーヘアが特徴で、当時の“御三家”と呼ばれたアイドルを背景にしていたという。

そして、1981年から2000年までと、最も付き合いが長かったのが3代目の「佐藤イサム」だ。眉毛は太めだがマサトくんより顔つきが柔らかくて、トレンディドラマに出てきそうな爽やかさがある。

4代目の「かけるくん」は、初めてイヤリングをした現代っ子風。リカちゃんよりも年上で、プロサッカー選手を目指すかたわらバンド活動も楽しむというアクティブボーイである。そして、2008年に登場した5代目は、ヘアスタイリストを目指し、これまでの中で一番のオシャレボーイな「レンくん」だった。

2016年からのボーイフレンドは、お向かいに住む年上のお兄さん「桜井遥斗」だ。はるとくんはアスリートを目指す高身長なイケメンで、今流行りの端正な顔つきをしている。

■洗練されたファッションを楽しめる大人向けのリカちゃんも登場!

2015年、女児向けの玩具だったリカちゃんシリーズに、大人の女性向けのブランド「LiccA」が加わり、「ビジューシリーズ」「LiccA Stylish Doll Collections」「リアルコーディネートスタイル」といったファッショナブルなラインが次々と発売された。

同シリーズは、子ども向けのフリフリしたデザインではなく、現実を生きる大人女子をそのまま人形にしたようなリアリティあるファッションが楽しめる点が特徴。大人向けゆえ、お値段はベーシックなリカちゃんよりも高めで1万円を超えるものが多いが、予約の時点で即完売になるほどの人気だ。

“映え”を意識して作られているので、これまでのリカちゃんより可動域が広くポージングも自由自在。自分好みのデザインの洋服を着せてお揃いで写真を取ったり、手作りの洋服をネットフリマで販売したりと、大人の着せ替えを楽しむ“リカ活”も注目を集めている。

■リカちゃんがインフルエンサーに!? 玩具以外の活動も活発

リカちゃんは、玩具以外にもさまざまな形で子どもたちにワクワクを届けてきた。古いところだと、1968年に「リカちゃんトリオ」を主人公にした漫画が始まり、1998年にはアニメ『スーパードール☆リカちゃん』が放送されている。

コラボ企画も頻繁で、かつては「初音ミク」や「くまもん」、最近では漫画『鬼滅の刃』の人形がリリースされた。特にリカちゃんが竈門禰󠄀豆子、はるとくんが竈門炭治郎のコスプレをした『鬼滅の刃』コラボは初回分が即完売するほど大きな話題となった。

平成に入り、タレント活動も盛んになっていくリカちゃん。コスメやアパレルブランド・車や食品メーカーといった有名企業のイメージキャラクターを務め、芸能人並みの活躍をしている。さすが、タレント名鑑に掲載されている唯一の架空キャラだけのことはある。

さらに現在は、インフルエンサーとしても活動中。フォロワー数が合わせて20万人を超えるX・インスタグラムのアカウントでは、トレンドを取り入れたハイセンスなファッション、季節のイベントや流行のネタに乗った写真などを投稿してファンを沸かせている。

改めて振り返ってみても、やはりリカちゃんは可愛い。あの頃夢中になって遊んだ大人女子も、これを機に“リカ活”に挑戦してみてはいかがだろうか。

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