東京電力福島第1原発事故後に浪江町からいわき市四倉町に拠点を移し大堀相馬焼を継承する窯元「陶吉郎窯」は3日、登り窯で焼いた新作の展示販売を始める。2日には窯から作品を取り出す「窯出し」を行い、その様子を動画配信サイト「ユーチューブ」でライブ配信した。
同窯元が登り窯で作品を焼くのは年に1度。今年は茶器や食器など約700点を焼成した。作品の中には、今年1月に地元浪江町大堀地区に完成した新工房製のカップも含まれている。
火入れは4月19日から5日間。アカマツのまきを使用し、24時間態勢で窯の中の温度を1200度から最高の1300度になるよう調整した。自然冷却を経て迎えた2日の窯出しでは、陶芸家の近藤学さん(70)らが丁寧に作品を窯から運び出した。近藤さんは「ガスや電気を使う一般的な窯では出ない風合いが特徴。作品ごとの色合いの違いも楽しんで」と来場を呼びかけた。
公開時間は午前10時~午後6時。問い合わせは同窯元(電話0246.38.7855)かホームページへ。
新店舗来月30日開業
浪江町大堀地区に工房と併せて新設した店舗は、6月30日にオープンする。現在は展示する作品の制作を進めており、近藤さんは「新しい提案として、今までいわきで見せていない新作も並べたい」と意気込みを語った。