駐車場で車案内「役に立ちたい」 山形・上東山、地元の小3石山君

大人と一緒に交通整理を手伝っている石山結翔君(右)。「楽しい」とやりがいを口にする=山形市上東山

 遠くから会場に向かってくる車が見えた。「STAFF」と印字された大人用ビブスを着た少年は身長124センチの体を力いっぱい動かして駐車場がある方向を紹介した。約300匹のこいのぼりを掲揚している山形市上東山の村山高瀬川。山あいの小さな地域を代表する恒例行事に地元高瀬小3年の石山結翔君(8)は「人の役に立ちたい」と、大人とともに駐車場の案内を手伝い、来場者のもてなしと地域の盛り上げに一役買っている。

 こいのぼりの掲揚は約70世帯がある地域の住民でつくる「蔦(つた)の木川原に集う会」が実施している。今年で11回目となるが、初年度は住民が持ち寄った30匹ほどだった。少子化の影響からか、市内全域から家庭で使わなくなったこいのぼりの寄付が増え、現在では300匹を数える。今年度、高瀬小の児童数は99人。初めて100人を割った。

 石山君は3年ほど前から手伝うようになった。両親も運営に携わっていたから「自然と」という。こいのぼりは4月上旬から約1カ月間掲揚しており、同会の集計では期間中の来場者は3万人を超える。河川敷などに約100台分の駐車スペースを確保しているが、すぐに満車となる状況。交通誘導はイベント運営で重要な役回りだ。

 休日は最長で3時間ほど協力し、平日は学校の授業後に、「宿題を終えてから」という両親との約束を守った上で駆け付ける。今年は、ほぼ皆勤賞だ。石山君は「楽しいからやっている」と笑顔で話す。父の秀則さん(48)は「毎年この時期を心待ちにしているようだ」と表情を和らげた。

 今年の掲揚は5日までで、最終盤に突入している。その成長を見守ってきた同会の酒井義孝さん(73)は「結翔君は最高の“助っ人”だ」と目を細める。将来は警察官になりたいという石山君は「褒められたり、上手だねと言われたりするのがうれしい。これからも続けたい」と話した。

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