男性の育休取得率が急増 22年度37%、環境整備進む和歌山県

男性の育児休業取得率

 和歌山県内にある事業所で育児休業を取得する男性従業員が急増している。県によると、2022年度の取得率は36.9%で、2年前より23.9ポイントの大幅増となった。県は事業者の意識が高まり、制度設計や環境整備が進んだためではないかと分析している。

 県が2年に1度調査している「労働条件等実態調査」。常用雇用者30人以上の全事業所と10~29人で無作為に抽出した事業所の計2千事業者を対象とし、1144件の有効回答を得た。

 男性の育児休業取得率は妻が出産した人のうち取得した人の割合。16年度は4.5%、18年度は15.3%となり、20年度は13.0%と、やや減少したが、ここ2年で急増した。

 県は取得率増について、事業者の意識向上に加え、国が来年から、従業員100人超の企業に対し、男性育休取得率の目標設定と公表を義務付ける方針を立てていることなども背景にあるとみている。

 ただ、休業期間は2週間未満が38.2%、2週間~1カ月未満が25.6%と、1カ月未満が6割を占めた。

 女性の取得率は92.4%(前回90.0%)で、おおむね90%前後を推移している。取得期間は1年~1年半未満が最も多かった。

 育児休業中の業務の対応(複数回答)について聞いたところ「同じ部門の他社員で対応」が最も多い78.8%。「パート・アルバイトを雇用」が27.2%、「他部門・他事業所から人員を異動」が22.6%、「派遣労働者を雇用」が13.2%などだった。

 一方、運用の問題点(複数回答)については「代替要員の人材確保が難しい」と答えたのが37.4%、「利用する者が少ない」が35.6%、「休業者が復職したときの代替要員の処遇が難しい」が20.5%、「企業の経済的負担が大きくなる」が15.1%、「企業の生産性が低下する」が14.8%などだった。

■有休取得率も上昇 12.1ポイント増の66.3%

 年次有給休暇の取得率も上昇傾向にある。16年度は47.4%、18年度は49.6%、20年度は54.2%で、22年度は12.1ポイント増の66.3%だった。

 「ワーク・ライフ・バランス」(仕事と生活の調和)のための取り組み(複数回答)としては、91.8%が「年次有給休暇の取得促進」、59.9%が「相談窓口の設置」、58.1%が「労働時間の削減」、36.6%が「男性の育児休業の取得促進」と答えた。

 男性の育児休業や有休の取得促進、相談窓口の設置に取り組む事業所の割合は、調査ごとに増えている。

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