マドリードOPの男女差別を批判した女子9位のジャバーにロペスTDが反論「我々は常に公平であろうと努めている」<SMASH>

現在行なわれている男女共催のツアー公式戦「ムチュア・マドリード・オープン」(スペイン・マドリード/ATP&WTA1000)のトーナメントディレクター(TD)、フェリシアーノ・ロペス氏(スペイン/男子元12位)が、同大会の男女差別的な扱いを批判したオンス・ジャバー(チュニジア/女子9位)に反論した。

事の発端はジャバーが大会期間中の会見で「テニスは女子スポーツのリーダー格のような競技なのに、男女平等を達成するまでの道のりがまだ遠いと感じる」と非難の言葉を口にしたことだった。彼女は「女子選手をもっと尊重する必要がある」と感じる2つの大会として、マドリードOPとイタリア国際(イタリア・ローマ/ATP1000)を挙げ、自身の個人的な経験や今大会における女子のテレビ中継の少なさに触れながらこう発言した。

「外からはわからないかもしれないけど、マドリードでの女子選手と男子選手の扱い方は全く違う。ホテルに帰ったらテレビをつけて女子の試合を見たいのに、放送されているのを見たことがない。もちろん今大会は多くのスペイン人男子がプレーしているのは理解しているけど、女子は1試合も放送しないの? と思ってしまう。スペイン人女子の試合すら放映されていないわ。私はそういう状況に本当にイライラしている。試合を見せずにどうやって若い女の子たちにインスピレーションを与えられるのかとも思うわ」

マドリードOPの“男女不平等”が指摘されたのはこれが初めてではない。昨年は女子ダブルスで優勝したビクトリア・アザレンカ/ベアトリス・ハダッドマイア(ベラルーシ/ブラジル)と準優勝のココ・ガウフ/ジェシカ・ペグラ(共にアメリカ)の4名が表彰式でのスピーチを突如封じられるという事態が発生。その前日の男子複決勝では出場4選手全員が表彰式でスピーチをしていたこともあり、同大会はSNSで謝罪の意を表明した。
それだけではなかった。大会中の5月5日に誕生日を迎えた男子のカルロス・アルカラス(スペイン)と女子のアリーナ・サバレンカ(ベラルーシ)にケーキが贈られたが、アルカラスは3段重ねの豪華なケーキだったのに対し、サバレンカは1段だけのシンプルなケーキだった。そうした事実を踏まえ、ロペス氏はこのほどイギリスメディア『Sky Sports』の取材で次のように話した。

「昨年は色々なことがあったがそれを受け入れる必要がある。例えばダブルス決勝の問題について我々は謝罪し、次のステップに進んで全員が満足している。昨年、我々は起こってはならないことを幾つかやってしまったと思う。その過ちから学びを得た」

一方でジャバーの指摘に対してはマドリードOPが男女で同じ賞金を提供していることに触れつつ「それ(彼女の指摘)は不当だと思う」と反論。「我々は常に公平であろうと努めている。前に進みながら、誰に対しても公平であるように努めなければならない」と語った。

おそらくジャバーはロペス氏の言う「公平性」がまだ実感できていないのだろう。今後は大会側がそれを明確に示すべきなのかもしれない。

文●中村光佑

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