「いまだ弁護士=男性」「お酌担当にされる」…朝ドラ「虎に翼」でも注目、法曹界のジェンダーギャップを6割が実感

法曹界で性別による格差を感じることはあるか

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NHK連続テレビ小説(朝ドラ)「虎に翼」の放送を機に、法曹界のジェンダーギャップにも関心が高まっている。

法律に関するポータルサイトなどを運営する弁護士ドットコムは4月、同社運営のサイトに会員登録する弁護士400人(男性258人、女性141人、その他1人)を対象に、法曹界のジェンダーギャップについて調査を実施した

約6割がジェンダーギャップ実感

弁護士ドットコムの調査では、法曹界で性別による格差(ジェンダーギャップ)を感じることのある人は、「よくある」が18.8%、「ときどきある」が38.0%で、約6割が格差を実感していることが明らかになった。

ジェンダー別で見ると、「よくある」「ときどきある」と回答した男性が45.4%で、女性が78.0%だった。女性の弁護士からは、「男性高齢弁護士から『女は怒るべきではない』と言われた」「飲み会の際、何気なくお酌担当にされる」など、ジェンダーバイアスによる体験も明かされた。

一方で、男性の弁護士からは、「社外取締役の需要が増えており、女性だから採用される場面も多い」など、「女性登用推進の動きが過度だと感じている」という意見もあったという。

「いまだ弁護士=男性と捉えられている実態」

実際に格差を感じた場面では、6割を超える人が、「依頼者との関係」をあげた。このことから、同社は「女性弁護士と男性弁護士で依頼者の態度が違うなど、一般の人からはいまだ弁護士=男性と捉えられている実態が見えてきます」と分析している。

育児・介護などの生活面や、 採用・就職時においてもジェンダーギャップを感じる経験があるといい、女性からは「『女性は出産や育児で辞めるから採用したくない』と何度も言われた」「働きながら育児は難しい。解雇された友人もいた」などのコメントも寄せられた。

回答において、男女で差が最も大きかったのは、「弁護団や弁護士仲間など同業者との関係」で、男性が21.4%に対して女性が45.5%だった。次いで差が大きかったのは、「報酬・給与面に関すること」だった。

実際に性別による格差を感じた場面

調査の自由回答では、女性の弁護士から以下のようなエピソードも寄せられた。

「依頼者や相手方から若い女の子なのに偉いねと言われる(1年目)、弁護士の先輩からいくつ?彼氏いる?などと聞かれる」

「同様の実績がある男性弁護士と比較して、顧問契約の獲得までのハードルが高いと感じています。社外役員の選考では女性であることが有利に扱われていると感じますが、反面、女性であること以外に期待されていないような虚しさもあります」

「裁判官に任官したが、その際、男性と同じ成績だったら間違いなく男性をとる、と明確に民裁教官に言われた。弁護士になって、相手方の代理人であるベテラン弁護士(男性)から『この女弁護士が!』と言われた」

日本弁護士連合会(日弁連)では、2024年4月に渕上玲子さんが女性として初めて会長に就任した。同年、弁護士の女性比率は初めて20%を超えた。

「虎に翼」の主人公のモデルは、日本で女性として初めて弁護士・判事・裁判所所長になった三淵嘉子(みぶち・よしこ)さん。家庭裁判所の創設にもかかわり、女性や子どもの権利擁護に尽力した功績でも知られている。

「虎に翼」で描かれたように、戦前の日本では、女性は弁護士になる道が閉ざされていたが、1933年に弁護士法が改正され、女性が弁護士となることが可能となった。

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