2年半交際して好きな人にプロポーズ でも正式な「ふうふ」になれない 「紙切れ1枚で得るものはこんなにたくさんあるんだよ」同性婚の法整備を待ち望むカップル

違憲状態という判断が相次いで示されていながら法整備がすすまない「同性同士の結婚」。

当事者たちは、「婚姻届」というたった1枚の紙がもたらす権利はとても大きいと話します。

法の下の平等を定めた憲法記念日に考えたい「結婚」とは。

部屋に指輪とバラ コテコテのプロポーズ

福岡市に住むたかこさん(39)とみゆきさん(29)。

2人は、SNSを通じて知り合い、2年半ほど前から交際。同性カップルです。

そして、今年3月、長野県への旅行中にたかこさんがみゆきさんにプロポーズしました。

みゆきさん「夕飯食べ終わったらお部屋に指輪とバラがあって」

たかこさん「コテコテのやつをやりました」

たかこさんはプロポーズをするにあたり葛藤があったと言います。

たかこさん「プロポーズとか、結婚指輪とかそれを私がやろうと思えばできますけど、制度が整っていないのにプロポーズしたら「ごっこ」みたいな感じになっちゃう。法律上結婚できないのに『結婚してください』って言うのってなあ・・・とか思ったりはしましたね。」

相次ぐ司法の「違憲判断」

同性婚が認められないのは「法の下の平等」や「婚姻の自由」を保障した憲法に違反するとして、全国の同性カップルが国を相手取って裁判を起こしています。

九州でも、福岡市や熊本市の同性カップル3組が訴えを起こしていて、去年6月、福岡地裁は、「違憲状態」という判断を示しました。

札幌地裁も憲法14条の「法の下の平等」に反するという「違憲判断」を示していましたが2審の札幌高裁は今年3月、全国で初めての控訴審判決として、「婚姻の自由」を定めた憲法24条についても、新たに違憲と判断しました。

みゆきさん「答え合わせじゃないけど、『やっぱりそうだよね』という風に思いましたし、『私たちの主張は間違っていなかったんだな』という思いもあります。」

「あと何がそろえば法改正するの?」

司法の場で違憲や違憲状態という判決が出されているものの同性婚に関する法律は改正されていません。

みゆきさん「これだけ言っているのにもかかわらず、私たちから見たらやる気の無い立法府に対しては、憤りというか『じゃあ後何がそろえばやるんですか』というような状態ですね。」

自治体が導入する「パートナーシップ宣誓制度」

たかこさんとみゆきさんは福岡県の制度を利用して、パートナーシップ宣誓をすることを考えています。

福岡県パートナーシップ宣誓制度は、成人の同性カップルが「宣誓書」を提出すれば、受領証カードが交付され、県営住宅への入居や、協力病院であればパートナーの病状の説明を家族と同じように受けることなどができるようになるものです。

このパートナーシップ宣誓制度に加えて、新たな制度を導入している自治体もあります。

自治体も「限界感じている」

福岡県古賀市は「パートナーシップ・ファミリーシップ宣誓制度」を導入しています。

古賀市役所人権センター・青柳陽子係長「パートナーシップ宣誓制度をされたカップルのお子さんも含めて家族という形で証明していくというところで、公的に証明していくというのがファミリーシップになります。」

一方で、「パートナーシップ・ファミリーシップ宣誓制度」は自治体が「要綱」として定めているもので、法的な効力はありません。

古賀市役所人権センター・青柳陽子係長「その「要綱」を持っている自治体と持っていない自治体があります。その中で、古賀市に住めば制度が利用できる。じゃあ制度がない自治体に行くとパートナーさんたちは(パートナーシップを)解消しなくてはならないという現実があるので、私たちとしても、これを法律で定めないとどうしても限界を感じるところですね。」

当事者の2人も自治体独自の制度には限界を感じています。

みゆきさん「もちろんないよりはすごくありがたいですし、福岡県としてパートナーシップがあることは私たちもすごく心強く思ってはいるんですけど。男女の結婚は、婚姻届を出して受理されるというその本当に紙切れ1枚のことで、配偶者控除が受けられ、相続ができる。さらに2人の子供が生まれたら、当たり前に両方に親権がある。私たちからしたら、あんな紙切れ1枚ですごくたくさんのものを得られているんだよと思います。」

結婚できるようになったらしたいこと

裁判では地裁や高裁で違憲状態という判断が示され日本弁護士連合会も法改正を求める意見書を出しています。

たかこさんとみゆきさんも、立法府である国会が法改正、法的に「ふうふ」と認められる日を待ちわびています。

みゆきさん「同性婚が認められたらすぐに婚姻届を提出しに行きたいなと言うくらい待ち望んでいることなので楽しみです。」

たかこさん「初めて知り合った人に『ご結婚されているんですか』と聞かれた時に、今は『パートナーと一緒に暮らしているんですけど、法律的には独身なんです』とかそういう注釈をいちいち入れないといけません。結婚できるようになったら『はい。しています』と言いたいですね。」

© RKB毎日放送株式会社