【NHKマイルC/追い切り診断】最高評価「S」はジャンタルマンタルかアスコリピチェーノか 「勝ち負け必至」反動どころか上昇ムード

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第29回NHKマイルカップ(5日/GI、東京芝1600m)には、昨年の朝日杯FS勝ち馬で皐月賞3着ジャンタルマンタル、阪神JF勝ち馬で桜花賞2着アスコリピチェーノ、ニュージーランドT2着ボンドガール、サウジアラビアRC勝ち馬ゴンバデカーブース、アーリントンC勝ち馬ディスペランツァらが出走予定。

本記事では、出走各馬の追い切りを診断し「S」「A」「B」の3段階で評価した有力馬や穴馬をピックアップ。ここでは「アスコリピチェーノ」を取り上げる。

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■アスコリピチェーノ

【中間調整】東京でのデビュー戦、新潟2歳Sと2連勝。そこから3カ月ぶりに挑んだGI・阪神JFは初の右回り、初の関西遠征などが割引材料とされてかサフィラ、コラソンビートに次ぐ3番人気の支持に留まった。しかし、レースでは早め先頭の積極策から、ステレンボッシュの猛追をクビ差凌いで3連勝でGIタイトルを獲得。そこから直行で桜花賞に参戦するのは予定通り。無傷の2歳女王とあってここは1番人気に推されたが、4角で外に若干膨れたところをステレンボッシュにすくわれた格好で2着。コーナリングもそうだが、ほかにも接触する不利があり、中間の稽古でルージュエヴァイユ相手だったとはいえ、手応え劣勢となる場面。コンディション面も万全ではなかったか。それでも連対確保で、世代トップ級の力は示せた一戦だったと言っていい。

レース後に目立ったダメージがないことから、当初の予定通りNHKマイルCへ進むことに。ノーザンファーム天栄での短期放牧でケアを施され、4月19日に美浦へ帰厩。21日の初時計で坂路ラスト2Fラップ13秒8-13秒3(馬なり)と軽快に動き、順調な回復をアピール。25日の1週前追いは、5月4日のレースを目標に調整されていた年長のオープン馬ナチュラルハイを目標に、速いラップを刻んで追走する。仕掛けられると圧巻の伸びを示し3馬身抜け出しての先着フィニッシュを果たしている。

【最終追い切り】1週前に自己ベストを更新する速い時計を出しており、レース当週はウッド終い重点の併せ馬で確認程度。とはいえ活気にあふれた行きっぷりから目標の未勝利馬を追い、取り付いてからは終始優勢の手応えを保って併入とした。前に馬を置いてもジッと我慢できており、コーナリングもスムーズそのもの。左回りでの実戦感覚をきっちり取り戻せたような内容だった。

【見解】前走・桜花賞時は2度目の栗東遠征で環境への慣れはあっただろうが、そこまで状態が整っていなかった印象。それでも差のない2着に入ってみせるあたり、マイル性能は世代トップと言っていいだろう。そこから中3週と今回はタイトな臨戦となるが、攻めを強化してきたあたり、反動どころか心身ともに状態面はグンと上昇してきたようだ。負傷で休養していたC.ルメール騎手は、この馬に乗れるのなら、と今週から復帰。テン乗り云々の声もあるが、その意欲を買いたい。勝ち負け必至。

総合評価「S」

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著者プロフィール

西村武輝(にしむらぶこう)
【重賞深掘りプロジェクト】調教ライター。競走馬の追い切り評価を専門として、ネットメディア中心に執筆を続けているフリーライター。UMAJINでは「競馬サロン」開設以前から毎週の重賞出走全頭のレポートを執筆、担当。またプロレス関連業界にも関わっており、週刊プロレスや書籍等への寄稿歴もある。

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