中性子星が銀河中心に存在しない原因、原始ブラックホールか? アムステルダム大

中性子星は、太陽質量の10~30倍の恒星が生涯の最後に大爆発した後に残る天体で、太陽と同程度の質量で半径10kmは程度しかない猛烈な高密度星だ。なおそれよりも重い恒星は、最後の大爆発の後に中性子星ではなくブラックホールが残る。

この中性子星は、なぜか銀河中心部(銀河中心から半径25パーセク以内の領域)では全く見つけることができない。その原因は現在も謎だが、アムステルダム大学の科学者らは、原始ブラックホールがその原因かもしれないという研究結果を発表した。

最新の宇宙論では、原始ブラックホールは、宇宙誕生直後にあらゆる大きさ(質量)のものが発生した可能性があると考えられているが、その存在は確認されておらず、仮想上の存在でしかない。だが例えば、宇宙の質量の約27%を占めるダークマターの張本人として、この原始ブラックホールは有力視されていたりもする。

今回の研究では、太陽質量よりも小さな原始ブラックホールの存在を仮定し、これが中性子星に取り込まれ、中心部に潜り込み、やがては中性子星を飲み込んでしまう可能性について検証を試みている。結論としては、このサイズの原始ブラックホールが中性子星を飲み込んでしまう可能性は大きくないことが判明したが、今回仮定した以外のサイズの原始ブラックホールでの可能性は、未知数だ。

そもそも恒星は連星系として存在する場合がほとんどで、太陽のように単独で存在するのは少数派だ。連星系を構成する星の組み合わせは、いずれも中性子星やブラックホールにならないケースもあるが、中性子星どうしの場合、中性子星とブラックホールの場合が考えられる。

これらのうち中性子星とブラックホールの組み合わせの場合には、ブラックホールがペアを組む中性子星を飲み込んでしまう可能性があるが、その証明にはより多くの観測事例が必要だ。

宇宙誕生直後の銀河中心は混とんとした状態で、現時点では想像しえない現象が起こっていた可能性もあり、この問題の解決にはまだまだ時間がかかりそうだ。

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