「一言で表すと精密機械」 岩井千怜が体感した同い年の“韓国賞金女王”の強さ

岩井千怜も韓国女王の技術には驚いた(撮影:福田文平)

<ワールドレディスチャンピオンシップ サロンパスカップ 2日目◇3日◇茨城ゴルフ倶楽部 東コース(茨城県)◇6665ヤード・パー72>

第2ラウンドで4つのバーディ(2ボギー)を奪った岩井千怜。「70」と伸ばしてトータル2オーバー・33位タイで予選通過は果たしたが、「きょうはつらかった。1つのバーディで少しずつ気持ちが救われていったけど、ギリギリのプレーでしたね」と、スコアだけでは測れない疲労を感じる一日になったようだ。

「自分のことで精いっぱいでした」という予選ラウンドだったが、2日間同じ組で回った“同い年”のプレーには衝撃を受けた。トータル5アンダーの2位タイで決勝に進んだ昨年の韓国ツアー賞金女王イ・イェウォンの印象について聞いてみると、「一言で表すと“精密機械”ですね」という答えが返ってくる。

2002年7月5日生まれの岩井と、03年2月13日生まれのイェウォンはともに現在21歳。ジュニア時代に一緒にプレーした記憶はなく、日本ツアー初出場となる韓国女王のプレーを見るのは今回が初めてのことだった。その姿は印象的。14フィートを超す高速グリーンに多くの選手が苦戦するなか、イェウォンは2日間アンダーパーを並べ、優勝争いに食い込んでいる。岩井が最初に抱いた感想は「うまっ!」だった。

淡々とバーディを積み重ねていくイェウォンは、「速いグリーンが好き。コースがあっている」とメジャーセッティングにも涼し気。2日間平均28回、全体10位につけるパット力もスコアメイクを支えるが、それ以外の部分でも、岩井は総合力の高さを感じたという。「とにかく(ショットが)曲がらない」。予選でのフェアウェイキープ率は85.7%(24/28)。イェウォン自身も「ドライバーの精度が武器です」とここをアピールポイントにするが、その言葉に偽りはない。

「グリーンを外すことも少なかったけど、外した時にどんなプレーをするのかなと思って見ていました。アプローチもすごくうまい。『本当に同い年なのかな?』と思うくらい。ベテランのようなプレーでした」とも。隣国の若き女王の母国での異名は『パーフェクトバニー』。まさに“完璧”なプレーの数々を目の当たりにし、日本で通算5勝を挙げる岩井ですら「負けないように頑張ろうという気持ちもありましたが、この人に追いつくためにはどんな練習をしないといけないんだろうと思いました」と感じることもあったほどだ。

ここでイェウォンが勝利すると、日本ツアーの出場権が得られる。本人は「周りに相談してからですが、個人の意見としてはいい機会なので挑戦したい」という意気込みも示している。勢いを増す新進気鋭すら目を丸くするその技術で、大会としては15年のチョン・インジ(韓国)以来となる日本初出場初優勝を勝ち取ることになるのだろうか。(文・間宮輝憲)

© 株式会社ALBA