高齢者「葬式代として300万円くらいの保険に入りたい」は正解?→“老後の保険”のポイント【家計再生コンサルタントの助言】

(※写真はイメージです/PIXTA)

生命保険文化センター「生命保険に関する全国実態調査(2021年度)」によると、生命保険の世帯加入率は89.8%、医療保険の加入率は93.6%と、ほとんどの人が保険に加入している状況です。そのようななか、「老後はこれまでと違う保険選びが重要」だと、『老後のお金、本当に足りますか?』(オレンジページ)著者で家計再生コンサルタントの横山光昭氏いいます。“老後の保険”のポイントをみていきましょう。

会社員・自営業・専業主婦(夫)……それぞれ入るべき保険は変わる?

個人によって必要な保険は大きく変わるため、目的の確認が必要

医療保険は、加入する人の状況によっても加入すべきものが変わってきます。

保険に加入する目的は大きく分けて3つ。

①医療(入院・手術の保障)

②死亡(お葬式代・遺族保障)

③貯蓄

番号はそれぞれ、一般的に優先すべき順番です。この3つの目的に対して、それぞれの立場でどのくらい備えが必要なのかをまずは考えてみてください。

例えば①の入院・手術の保障。専業主婦(夫)の場合、たとえ入院しても配偶者の収入があるならば、経済的不安はない人もいるでしょう。

会社員の場合も、仮に入院が長引いても会社で健康保険に加入していれば休んでいる間は「傷病手当金」が支給されるので、すぐに経済的に困ることはないかもしれません。

しかし自営業であれば、入院して仕事を休んだ分の収入保障はありません。それにより自分に経済的不安が生じるのか、公的保障や貯蓄でカバーできるのか。

もしも収入が途切れてしまうなら、自営業の方の場合は「就業不能保険」への加入を検討してもいいかもしれません。ただ共働きの場合は、配偶者の収入により乗り切れる可能性もあるでしょう。

こういった個々人の状況によって、必要な保険は大きく変わってきます。

「死亡保険」は誰のために必要?

医療保険に次いで選ばれている保険が「死亡保険」。配偶者や親が亡くなったときに遺族に保険金が払われる死亡保険は、家計を担う人なら誰もが考える保険でしょう。特に子育て中の場合は、残された家族のためにも万が一の保障は考えたいもの。

ただ、老後となるとどうでしょうか? 例えばすでに子供が独立している、もしくは子供がいない場合。共働きの場合は、残された配偶者の収入があればそこまで大きな金額の保障は不要……ということも考えられます。収入がなくても、貯蓄があれば配偶者の生活はまかなえる、というケースも。

貯蓄はあるけれど、一応「葬式代」として300万円くらいの保険に入りたい……そういう高齢の方もいらっしゃいますが、そのために掛け捨ての保険を払い続けるのであれば、その分を貯蓄に回し、必要なときに必要な分を貯蓄から出すほうが結果的には得になるケースも。

何のためのお金を、どのくらい、誰に残すか。「これまでの人生とは違う保険選び」を意識することが大切です。

〈ここがポイント〉

家族の状況に応じ、死亡保険の見直しを

医療保険の「先進医療特約」。付けたほうがいい?

受けられるとは限らない。可能なら付けておくのがベター

医療保険にはさまざまな「特約」が設けられています。なかでも「先進医療特約」に関して悩む方は多いのではないでしょうか。「先進医療」とは、厚生労働省が認めているものの公的医療保険の適用にならない治療のこと。

〈先進医療の特徴〉

●対象となる治療や、その治療を受けられる医療機関が限られている。

●一般的な保険診療を受けるなかで、患者が希望し、医師がその必要性と合理性を認めた場合のみ可能。

●厚生労働省が定めた先進医療を受ける場合は、先進医療にかかわる費用は患者が全額自己負担。その他の一般保険診療は自己負担額に応じた負担となる。そのため、治療費用が高額になることが多い。

先進医療は必ず受けられるとは限りませんが、先進医療特約は費用も数百円程度。将来の可能性を考えれば、付けてもよいでしょう。

また、医療保険を選ぶときに「三大疾病」に関するものが気になる方も多いと思います。三大疾病は発症数が多いだけではなく、通院や入院が長引く割合も高いのが特徴。特約がある場合は、選んでおくと安心できますよ。

横山 光昭
株式会社マイエフピー 代表
家計再生コンサルタント

© 株式会社幻冬舎ゴールドオンライン